AOCボルドーで認められている品種(赤/白/ロゼ)

AOC(原産地呼称)

突然ですが、ボルドーで認められている品種は何種類あるでしょうか。

以前、ボルドーワイン=ブレンドワインで軽く触れましたが、それぞれの品種をもう少し詳しくお届けしようと思います。

今回の写真は基本的にボルドーワイン委員会CIVB(Conseil Interprofessionnel du Vin de Bordeaux)さんから許可をいただき、使わせていただいています。

圧倒的なわかりやすさ!ありがとうございます。

 

 

赤ワイン用品種

メルロやカベルネ・ソーヴィニョン、フランが有名ですが、6品種が認められています。

  • Merlot(メルロー/メルロ)
  • Cabernet Sauvignon(カベルネ・ソーヴィニョン)
  • Cabernet Franc(カベルネ・フラン)
  • Petit Verdot(プティ・ヴェルド)
  • Malbec(マルベック)
  • Carménère(カルメネール)

赤ワイン用品種については、以前ボルドー赤ワイン用品種を、ブドウを見ずに見分ける方法。でも書いているのでよろしければご覧ください。

 

栽培割合

では、それぞれの品種ごとのボルドーの栽培割合はどのくらいでしょうか。

Merlot(メルロー/メルロ) 66%
Cabernet Sauvignon(カベルネ・ソーヴィニョン) 22,5%
Cabernet Franc(カベルネ・フラン) 9,5%
その他品種 2%

 

赤;主要品種と補助品種

主要品種

cabernet-sauvignon(カベルネ・ソーヴィニョン)、cabernet franc(カベルネ・フラン)merlot(メルロー)、malbec(マルベック)、carmenère(カルメネール)petit verdot(プティ・ヴェルド)

 

赤;それぞれの品種の特徴

メルロー/メルロ

上の割合を見てもわかるように、ボルドーで最も栽培されている品種。

フランス全土では3番目に植えられている黒葡萄です。

ボルドーの中でも右岸(サンテミリオン/ポムロール)で沢山植えられています。

ちなみに、名前はクロウタドリの羽(藍色)に似ていることに由来しています。

クロウタドリのフランス語は「Merle」、Merlotに近いですよね。

成熟は早く、春の霜の影響を受けやすい品種でもあります。

さらに、ブドウ自身の糖度も高いです。

しなやかで丸みを持ち、色はもちろん、赤いフルーツの香りをワインに与えてくれます。

プラムやイチジク、熟成ワインではトースト香なんかも。

涼しく、湿った土壌でより能力を発揮する品種で、サンテミリオンでは冷たい石灰質の土壌が多く、沢山栽培されています。

cabernet franc(カベルネ・フラン)とmagdeleine noire des Charentes(マグドレーヌ・ノワール・デ・シャラント)の交配種で、昔はmerlau(メルロー)、plant médoc(プラント・メドック)、sémillon rouge(セミヨン・ルージュ)、béguey(ベゲイ)、picard(ピカール)、alicante(アリカンテ)、crabutet noir(クラビュテット・ノワール)とも呼ばれていました。

 

カベルネ・ソーヴィニョン

ボルドーでは伝統的な品種で、世界で最も植えられている品種

現在では全世界で30万ヘクタール以上植えられていると言われています。

ボルドーではメドックやグラーヴなどの左岸でよく植えられていて、高品質なワインを造る品種です。

cabernet franc(カベルネ・フラン)とsauvignon blanc(ソーヴィニョン・ブラン)の交配種というのはご存知の方も多いのではないでしょうか。

17世紀に交配された、その名前はラテン語の「Carminium(カリミニウム)」に由来していると言われています。

成熟が遅く、左岸の砂利土壌による暖かさのおかげで熟す品種です。

ワインに骨格とタンニンを与え、香り高く、カシスやカンゾウ、ミントなどのフレッシュ感と黒いフルーツが主体です。

熟成に向く品種なので、カベルネ・ソーヴィニョンが沢山使われているメドックのワインは超熟に向くものが多いですよね。

 

カベルネ・フラン

別の品種とブレンドすると、良さがより出てくる品種。

早い成熟と、エレガントなタンニンを持っています。

色はそれほど濃くないですが、ワインにフレッシュ感と香りの複雑さを与えてくれます。

香りはフランボワーズやスミレなどを感じます。

ブドウの実が小さく、ポリフェノールの高いワインを造ることが出来ます。

熟成にも向いていて、ワインにフィネスを与えます。

しかし、ベト病やうどん粉病、灰色カビの影響を受けやすいです。

ボルドー品種の中で最も古く、起源はスペインバスクと言われています。

現地ではAchéria(アケリア)として知られている品種。

最後の氷河期に続く地球温暖化の間にフランスのスッド・ウエスト(南西地方)で植栽されました。

サンテミリオンではbouchet(ブシェ)、ピレネーでは bouchy(ブッシー)、ロワールではbreton(ブレトン)と名前を変えて植えられていました。

 

プティ・ヴェルド

ピレネー山脈原産の品種で、lambrusquet(ランブルスケ)の名でも知られています。

長い間、メドックでのみ栽培されていましたが、現在はグラーヴ地方でも栽培されています。

地球温暖化の影響もあり、昔と栽培されている場所に変化があります。

病気に強く、収量が多い品種で、成熟は遅いです。

濃い色をワインに与え、タンニンや力づよさもワインに与えます。

 

マルベック

Quercy(ケルシー)原産の品種。

prunelard(プルネラード)とmagdeleine noire des Charentes(マグドレーヌ・ノワール・デ・シャラント)の交配種です。

ボルドーでは17世紀頃から植えられるようになりました。

栽培面積は2%程度で、全体的にはあまり植えられていない品種ですが、ブルジョワやブライでよく植えられている品種です。

ブレンドをした際に色と、口当たりの良さをワインに与えてくれ、かなりフルーティーでタンニンの多い品種です。

Cahor(カオール)ではauxerrois(オークセロワ)と呼ばれている品種です。

他にもcôt(コット)、pied de perdrix(ピエ・ド・ペルディ)、pressac(プレサック)などの名で呼ばれることもあります。

 

カルメネール

cabernet franc(カベルネ・フラン)とgros cabernet(グロ・カベルネ)の交配種で、ボルドーに起源を持つ品種。

カルメネールはワインにリッチさと色、タンニンを与えます。

時々、軽い苦みを与えることも。

香りはフルーティーでスパイシー。

carmenelle(カルメネル)、cabernelle(カベルネル)グラーヴ地方ではcarbouet(カルブエ)イタリアのエミリア・ロマーニャではbordo(ボルド)とも呼ばれています。

 

白ワイン用品種

あまり植えられていない品種もありますが、認められているのは以下品種です。

  • Sémillon(セミヨン)
  • Sauvignon Blanc(ソーヴィニョン・ブラン)
  • Muscadelle(ムスカデル)
  • Colombard(コロンバール)
  • Merlot Blanc(メルロ・ブラン)
  • Sauvignon Gris(ソーヴィニョン・グリ)
  • Ugni Blanc(ウニ・ブラン)

 

栽培割合

白ワインはこんな感じ。

Sémillon(セミヨン) 47%
Sauvignon Blanc(ソーヴィニョン・ブラン) 45%
Muscadelle(ムスカデル) 5%
その他品種 2%

 

白;主要品種と補助品種

ボルドー白ワインにおける主要品種と補助品種は以下の様に分けられています。

主要品種

sémillon(セミヨン)、sauvignon blanc(ソーヴィニョン・ブラン)sauvignon gris(ソーヴィニョン・グリ)、muscadelle(ムスカデル)

補助品種

colombard(コロンバール)、merlot blanc(メルロー・ブラン)、ugni blanc(ウニ・ブラン)

補助品種はワインの30%以下でなければいけません。

ですので、コロンバール100%のワインはボルドーワインとして販売できず、フランスワインとして販売されます。

 

白;それぞれの品種の特徴

セミヨン

甘口ワインに欠かせない品種です。

まろやかでオイリー。

アプリコットや蜂蜜の香りを主体とした品種です。

「貴腐」により、その特徴がさらに表れ、とても香り高い。

セミヨン以外にはブルガリアではSeminion(セミニオン), Chevrier(シェヴリエ)、Mansois(マンソワ)やSauternes(ソーテルヌ)とも呼ばれます。

 

ソーヴィニョン・ブラン

ボルドーでは辛口白ワインの主要品種

酸とミネラル、フレッシュ感をワインに与えます。

柑橘類、ツゲ、イチジクの葉の香りはソーヴィニョン・ブランの3つの特徴です。

sauvignon petit(ソーヴィニョン・プティ)、sauvignon gros(ソーヴィニョン・グロ)と呼ぶ国もあります。

 

ムスカデル

甘口辛口にかかわらず、白ワインの補助品種として使われることが多いです。

かなり繊細で、ムスカデルを使ったワインは香り高く、酸が低いです。

まろやか且つ、力強さをワインに与えます。

フローラルでムスクのような香りが魅力。

issal de tarayre(イサル・ド・タラレ)、marmésie(マルメジー)、bouillenc(ブイエン)、musquette(ムスケット)、raisinote(レイシノット), cadillac(カディヤック)やmuscat fou(ムスカ・フー)と呼ばれることもあります。

 

コロンバール

シャラント地方で、一番古い品種の一つです。

成熟が早く、肥沃で力強い。

ワインに元気さと、繊細さを与え、香りは柑橘系やお花の香りを持ちます。

16世紀から18世紀の間に沢山栽培されていたgouais blanc(グアイ・ブラン)とchenin blanc(シュナン・ブラン)の自然交配で出来た品種です。

ボルドーでは1%未満しか栽培されておらず、ブルジョワやブライでよく植えられている品種です。

ヴァンデではbon blanc(ボン・ブラン)、ロット・エ・ガロンヌではblanquette(ブランケット)、またはcolombier(コロンビエール)とも呼ばれます。

 

メルロ・ブラン

folle blanche(フォール・ブランシュ)とmerlot noir(メルロー・ノワール/黒メルロー)の交配種としてボルドーで生まれました。

成熟が早く、安定した品種です。

ボルドーでは0.2%未満しか栽培していない希少品種で、今日ではほとんど栽培されていないと言っても過言ではありません。

merlauやmerlaut(どちらもメルロー)と呼ばれることもあります。

 

ソーヴィニョン・グリ

ボルドーの典型的な品種

ソーヴィニョン・ブランの灰色変異種で、成熟すると少しピンクに色づきます。

ワインは力強く、骨格もしっかり。

エレガントでお花の香りがするワインを造ります。

ニエーヴルではsauternes(ソーテルヌ)やblanc fumé(ブラン・フュメ)、ベアルンではahumat(オーマ)、ぽわとぅーではfié(フィエ)と呼ばれます。

 

ウニ・ブラン

生産性が高いこの品種はトスカーナ原産です。

イタリアではvermentino(ヴェルメンティーノ)の親で、trebbiano(トレッビアーノ)と呼ばれているので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

コニャックとアルマニャックで広く栽培されており、昔はSaint-Emilion(サンテミリオン)と呼ばれていました。

ボルドーでは2%未満しか栽培されていない品種です。

malvoisie(マルヴォジー)、clairette(クラレット)、queue de renard(クー・ド・レナルド)、roussan(ルーサン)やrossola(ロッソラ)とも呼ばれます。

 

ロゼワイン

もちろんボルドーではロゼも生産しています。

ロゼワインには、白ワイン用品種と赤ワイン用品種のどちらも使用できます。

 

ロゼ;主要品種と補助品種

ボルドーロゼは以下の品種ですが、clairet(クレレ)に関しては赤ワインと同品種しか認められておりません。

主要品種

cabernet-sauvignon(カベルネ・ソーヴィニョン)、cabernet franc(カベルネ・フラン)、merlot(メルロー)、malbec(マルベック)、carmenère(カルメネール)、petit verdot(プティ・ヴェルド)

補助品種

sémillon(セミヨン)、sauvignon blanc(ソーヴィニョン・ブラン)、sauvignon gris(ソーヴィニョン・グリ)

クレレ以外のロゼワインに関しては、補助品種が20%以下しかブレンドできず、ソーヴィニヨン・ブランとソーヴィニョン・グリの合計は10%を限度とする。

 

写真提供

自分の手持ちの写真でお伝え出来ることも少ないなぁと思ったので、ボルドーワイン委員会CIVB(Conseil Interprofessionnel du Vin de Bordeaux)からお借りしました。

ホームページではボルドーワインについて、分かりやすく伝えてくれているので、一読の価値ありです!

 

参考記事

ボルドーワイン=ブレンドワイン

ボルドー赤ワイン用品種を、ブドウを見ずに見分ける方法。

 

最後に

久しぶりに、ワイナリーの話ではないボルドーワイン全体の話をお届けしました。

色々お伝えしたいこともあるので、少しずつお伝えしていきたいと思っています。

今年はもう収穫も始まっていて、今年のブドウについてリアルタイム情報もお届けできればとも考えています!

 


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