レオヴィル3兄弟最後、シャトー・レオヴィル・バルトン│ランゴア・バルトン

左岸

1855年のメドック格付けには、「レオヴィル」と名の付くワイナリーが3つあります。

その3つ目の最後、Château Léoville Barton(シャトー・レオヴィル・バルトン)の特集記事です。

簡単に歴史

 

Thomas Barton(トーマ・バルトン)は27歳の時に生まれ育ったアイルランドを離れました。

彼は母方の叔父であるThomas Dickson(トーマ・ディクソン)とWilliam Dickson(ウィリアム・ディクソン)から専門的な教育を受けていました。

当時彼は既にフランスと広く貿易をする重要な商人でした。

1722年

重要な商人ということもあり、まずはモンプリエ、その次にマルセイユに送られました。

当時は、ワインのネゴシアンになる予定はありませんでした。

1725年

大西洋沿岸で最も重要な港の一つでもあったボルドーに到着したThomas Barton(トーマ・バルトン)はワインに興味を持ちます。

そして、ワインのネゴシアン設立を決定します。

ここで一族を築き、1855年の格付けに選ばれたワイナリーの中で最も長く続いている一族になります。

アイルランドとの交流もあるおかげで、ビジネスはすぐに成功します。

1743年

Thomas Barton(トーマ・バルトン)は一人息子のWilliam(ウィリアム)に跡を継がせます。

が、William(ウィリアム)は父の様にはいかず、2人の関係も良好ではありませんでした。

 

当時のフランスでは、外国人がフランス領土で亡くなった場合、彼らの資産はフランス王室の財産になることが定められていました。

それが故に、Thomas Barton(トーマ・バルトン)はフランス、ボルドーでブドウ畑を購入しませんでした。

1780年

Thomas(トーマ)は85歳の生涯を終えました。

William(ウィリアム)がボルドーとアイルランドの家財を相続しました。

Thomas(トーマ)には息子が一人William(ウィリアム)しかいませんでしたが、William(ウィリアム)には6人の息子と3人の娘がいました。

 

長男はアイルランドの様々なワイナリーを相続し、四男のHugh(ヒュー)がボルドーのワイン事業を継ぎました。

この息子Hugh(ヒュー)は一族で最初にフランスのブドウ畑を購入した人でもあります。

1786年

Hugh(ヒュー)は20歳の頃に、ワイン商人としてのキャリアをスタートさせます。

当時、この家族経営の会社は250万ポンドの売り上げであったと推定されています。

Hugh(ヒュー)によって、このネゴシアンは大成功をおさめます。

1793年10月14日

Hugh(ヒュー)とAnna(アンナ)は他のイギリス人住民と一緒に逮捕され、ボルドーで投獄されます。

そして彼らの資産も差し押さえられました。

1793年10月23日

病気を患っていたWilliam(ウィリアム)は自宅に残ることを許されたが、監視下に置かれていました。

そしてHugh(ヒュー)が戻ってくる前に亡くなります。

1793年12月21日

Hugh(ヒュー)とAnna(アンナ)は釈放されます。

彼らはボルドーを離れ、イギリスとアイルランドに向かいます。

が、Hugh(ヒュー)はボルドーとのつながりも維持していました。

1821年

Hugh Barton(ヒュー・バルトン)がChâteau Langoa(シャトー・ランゴア)を購入しました。

そして、ワイナリー名もChâteau Langoa Barton(シャトー・ランゴア・バルトン)としました。

1826年

Domaine de Léoville(ドメーヌ・ド・レオヴィル)の一部を購入し、ワイナリー名をChâteau Léoville Barton(シャトー・レオヴィル・バルトン)とします。

このChâteau Léoville Barton(シャトー・レオヴィル・バルトン)今現在も同じBarton(バルトン)一族が経営している、家族経営のワイナリーです。

(レオヴィル3兄弟は全て家族経営のワイナリー)

1855年4月18日

知ってる方も多い、ナポレオン3世の命でパリ万博のためにつくられた格付けの発表がありました。

そこでChâteau Léoville Barton(シャトー・レオヴィル・バルトン)を含む元Domaine de Léoville(ドメーヌ・ド・レオヴィル)の3つのワイナリーが2級に、Château Langoa Barton(シャトー・ランゴア・バルトン)が3級に選ばれました。

現在

9代目、娘のLillan(リリアン)が当主。

彼女には32歳Mélanie(メラニー)と、30歳Damien(ダーミアン)がいるので、まだまだワイナリーは安泰

Mélanie(メラニー)はエノログで、Damien(ダーミアン)はマーケティングでワイナリーを支える

バルトン一家

1855年の格付けで2級に選ばれたChâteau Léoville Barton(シャトー・レオヴィル・バルトン)のある場所で、3級のChâteau Langoa Barton(シャトー・ランゴア・バルトン)も醸造・熟成されています。

ですので、今回はシャトー・レオヴィル・バルトンとシャトー・ランゴア・バルトンの2ワイナリーについて書きたいと思います。

Château Mouvesin Barton

バルトン一族は、同じメドックにもう一つワイナリーを持っています。

それが、Château Mouvesin Barton(シャトー・モーヴザン・バルトン)

こちらは若手が頑張っているワイナリーです。

2011年にバルトン一族のものとなったワイナリーを

歴史で少し触れた娘さんメラニーが2013年に相続しました。

リリアン、旦那さんのMichel(ミッシェル)、メラニー、ダーミアンの4人で経営していますが、

主にメラニー、ダーミアンの2人が畑からマーケティングまで行っています。

タンクもすべてステンレスタンクで、熟成樽もレオヴィル・バルトンとランゴア・バルトンで使用したものを使用しているワイナリーです。

シャトー・レオヴィル・バルトン

畑は51ヘクタール。

内、74%カベルネ・ソーヴィニョン、23%メルロ、3%カベルネ・フランが植えられています。

シャトー・ランゴア・バルトン

畑は17ヘクタール。

内、57%カベルネ・ソーヴィニョン、34%メルロ、9%カベルネ・フランが植えられています。

収穫

収穫者は100名程度。

2週間かけて行われます。

収穫はメルロからカベルネ・フラン、そしてカベルネ・ソーヴィニョンの順で行われます。

そして、選果、除梗をしてタンクの中にブドウを入れます。

醸造

木のタンクを28基もっています。

この木のタンクで醸造を行っていて、ステンレスタンクは保管用にいくつか持っています。

木のタンクは比較的大きいので、1つのタンクで2~3区画から採れたブドウを醸造します。

発酵

アルコール発酵は28度程度。

ルモンタージュを1日に2回行います。

それぞれのルモンタージュは1時間半かけて行われます。

そしてマロラクティック発酵。

このワイナリーではアルコール発酵とマロラクティック発酵を同時に行うので、アルコール発酵が終わり、マロラクティック発酵の途中で樽の中にワインを入れます。

熟成

熟成庫を2つ持っていて、それぞれ熟成しているビンテージが違います。

ボルドーの多くのワイナリーでは、1年目の熟成室、2年目の熟成室と分かれていますが、ここでは、奇数年の熟成室、偶数年の熟成室という風に分けています。

樽の焼き加減はミディアム。

全てフランスオークの使用です。

熟成中、澱引きは3か月に1回、熟成の最後には卵の白身を使ったコラージュも行う、ボルドーではクラッシックな熟成作業です。

熟成期間と新樽

シャトー・レオヴィル・バルトンは18か月熟成、60%新樽使用

シャトー・ランゴア・バルトンも18か月熟成、20%新樽使用です。

ブレンド

熟成の途中、2月中旬から3月中旬に行われます。

ブレンドを決定するための試飲は12月から1月にかけて。

生産ワイン

こちらはセカンドワインをまとめた時にも軽く触れました。

シャトー・レオヴィル・バルトンとシャトー・ランゴア・バルトンの共同のセカンドワインがレゼルヴです。

こちらのセカンドワインは基本的に若木を使われています。

シャトー・レオヴィル・バルトン、シャトー・ランゴア・バルトン共にサンジュリアンに畑を持っているので、アペラシオンはサンジュリアンとしての販売です。

まとめ

 

Château Léoville Barton

シャトー・レオヴィル・バルトン

Château Langoa Barton

シャトー・ランゴア・バルトン

ブドウ品種

74%カベルネ・ソーヴィニョン

23%メルロ

3%カベルネ・フラン

57%カベルネ・ソーヴィニョン

34%メルロ

9%カベルネ・フラン

タンク 木製タンク
熟成期間 18か月
新樽使用率 60% 20%

ワイナリー情報

Château Léoville Barton(シャトー・レオヴィル・バルトン)

Château Langoa Barton(シャトー・ランゴア・バルトン)

電話;+33 5 56 59 06 05

住所;33250 Saint-Julien-Beychevelle

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