ボルドーのワイナリーで有名なのが「五大シャトー」と呼ばれるワイナリー。
この五大シャトーは1855年に決められた格付け1級のワイナリーのことです。
?という方もいると思うので、五大シャトーの説明をざっくりしてから、今回はあまり調べずに、脳内の情報を整理していきたいと思います。
ワイナリーの写真も沢山載せる予定です!
目次
五大シャトーとは
最初にも書きましたが、1855年に発表されたメドック格付けの1級に選ばれたワイナリーを五大シャトーと呼びます。
その5ワイナリーがこちら。
- Château Lafite Rothschild/シャトー・ラフィット・ロートシルト
- Château Latour/シャトー・ラトゥール
- Château Margaux/シャトー・マルゴー
- Château Haut-Brion/シャトー・オー=ブリオン
- Château Mouton Rothschild/シャトー・ムートン・ロスチャイルド
当時の格付けは金額順で、今回はその1~5位までをお話するという風に思って頂ければと思います。
ちなみに順番は上から1位から5位までならべています。
上のワイナリー名から公式ホームページへ飛べるようにしております。
また、それぞれのワイナリーの詳しい記事はことあるごとにリンクを載せるつもりなので、興味を持っていただけたタイミングでクリックしてもらえればうれしいです。
ワイナリー見学
やっぱり見学については気になる方も多いと思います。
プロしか見学できないワイナリー、有料見学のワイナリー等、五大シャトーでも分かれています。
見学可能のワイナリーも、数か月前から予約がいっぱいなことが多いのでかなり前もってワイナリーに連絡することをお勧めします。
見学については以前まとめたものがあるのでそちらをご覧いただけると嬉しいです。
もしかしたらコロナ明けは変更があるかもしれませんが、変更が分かればその都度お知らせします。
簡単にまとめ
まずはまとめてみました。
ブドウ品種は略して表記してるので分かり辛ければすいません。
(後に説明しています)
特徴についても、一部特徴を書いているだけなので、その他も知りたい方は先に読み進めて頂ければと思います。
ワイナリー名 | Château Lafite Rothschild | Château Latour | Château Margaux | Château Haut-Brion | Château Mouton Rothschild |
シャトー・ラフィット・ロートシルト | シャトー・ラトゥール | シャトー・マルゴー | シャトー・オー=ブリオン | シャトー・ムートン・ロスチャイルド | |
ブログ | ラフィット | ラトゥール | マルゴー | オーブリオン | ムートン |
AOC | Pauillac | Pauillac | Margaux | Pessac-Léognan | Pauillac |
ポイヤック | ポイヤック | マルゴー | ペサック=レオニャン | ポイヤック | |
城建設 | 18~19世紀 | 1862年 | 1810年 | 1549年 | 1880年 |
ワイナリー瓶詰 | 1925年 | 1963年 | 1924年 | 1923年 | 1924年 |
特徴 (一部) |
円形熟成室 | プリムールの廃止 | ギリシャ人女性オーナー |
1961年鋼タンク 1991年ステンレスタンク |
1973年格付け1級へ |
畑面積 | 110ha | 47ha | 85ha/白12ha | 48ha/白2.5ha | 90ha/白7ha |
ブドウ品種 | CS/M/CF/PV | CS/M/CF/PV | CS/M/PV/CF | M/CS/CF/PV | CS/M/CF/PV |
SB | Sé/SB | SB/Sé/Sgris/Mu | |||
タンク | ステンレス/木/コンクリート | ステンレス | 木製 | ステンレス | 木製 |
熟成期間 | 18~20か月 | 18か月 | 18~24か月 | 18~22か月 | 18か月 |
新樽使用 | 100% | 100% | 100% | 75% | 100% |
では以下より項目ごとの説明です。
ワイナリー名
それぞれのワイナリーの名前です。
ブログ
以前書いたワイナリーの記事です。
よろしければご覧ください。
表の中のワイナリー名は略して表記しています。
- 参考;メドック1級シャトー、シャトー・ラフィット・ロートシルト
- 参考;1855年メドック格付け1級、シャトー・ラトゥール
- 参考;五大シャトーの一つ、シャトー・マルゴー
- 参考;5大シャトーの一つ、シャトー・オー・ブリオン
- 参考;唯一後に格付け1級にあがった、シャトー・ムートン・ロスチャイルド
AOC
ワイナリーが位置している場所です。
以前メドック地方について書いたのでこちらを見てもらった方が分かりやすいかな。
地図も書いてますのでよろしければどうぞ。
- 参考;AOCメドックについて
城建設
ボルドーのワイナリーと言えばお城、いわゆるシャトーが欠かせません。
そのお城の建設年です。
オーブリオンだけ異常に早いですが、基本的には18~19世紀の建設です。
現在も残るボルドーの街の建物が建てられたのもこの時期です。
ワイナリー瓶詰め
昔は樽で販売され、ネゴシアンが瓶詰を行っていました。
なので、それ以前のものは瓶詰めするネゴシアンによってラベルが違ったりも。
もれなく偽物のワインも造りやすいですよね。
19世紀初頭からボルドーのワイナリーはワイナリー内で瓶詰めを行うようになりました。
その中でも五大シャトーは自社瓶詰めされたのが早いな、という印象。
きっと瓶詰めする機材購入とかにお金がかかるので有名ワイナリーから行われた、ということだと思います。
今ではラベルに「Mise en bouteille au Château 〇〇」と記載されるようにもなりました。
これはワイナリー内で瓶詰めを行っているという証明です。
配送にかかる金額は上がったでしょうが、偽物ワインの抑制につながります。
ちなみに、現在ではワイナリー敷地内の瓶詰めですが外注するワイナリーもかなり多いです。
要は瓶詰めのプロフェッショナルにお願いしています。
これは、別記事にする予定なので今回はここまで。
特徴
私が思うそれぞれのワイナリーの特徴を書いてみました。
表に書いた以外にも書いております。
Château Lafite Rothschild
Château Lafite Rothschild(シャトー・ラフィット・ロートシルト)は同じポイヤックでも一番北に位置しているワイナリー。
車で行くと、ラフィットの先はサンテステフです。
ちなみにサンテステフにも少し畑を所有していますが、AOC制定前から所有しているのでポイヤックのワイナリー、シャトー・ラフィット・ロートシルトとして販売が可能です。
また、ここの特徴は1973~1976年に造られた円形熟成室かな。
部屋の真ん中を中心に、円形に樽を並べるという当時革新的なことを行いました。
これによって、いろんな長さのホースを用意しなくても良くなったし、
作業効率が上がったとのこと。
ラフィットの真似をして、円形熟成室を造るワイナリーも。
ちなみに、時々この中でコンサート行われてます。
個人的にこのワイナリーですごいな、と思うのが研修生用の畑を持っている事。
ワイナリーのすぐそばにあって、きっとものすごく良いワインを生産することのできない土壌なんだろうけど…すごい。
研修生は畑作業からワイン造りまでを自分たちの畑で行うことができるってさ。
すごくない?
Château Latour
Château Latour(シャトー・ラトゥール)はポイヤックの一番南に位置しているワイナリー。
周りにも格付けワイナリーが沢山存在しています。
これは完全に個人的な印象なんやけど、ラトゥールの周りだけいつも心地いい風が吹いている。
どれだけ無風の日でもラトゥールのブドウ畑の葉っぱだけは揺れている。
以前、メドック地方の特徴を書きましたが、この特徴がしっかり現れているな、と。
ラトゥールだけでなく、メドックの良いワイン(≠高いワイン)を生産するワイナリーは皆やけど。
ラトゥールは2012年にプリムールを廃止したのも有名ですよね。
プリムールはいわゆる先物買い。
コロナ禍でここ数年変わっていますが、通常であれば4月1週目に「プリムール」期間があります。
(ボルドーに限ったことで、他の地域での「プリムール」は意味が異なります)
ここでネゴシアン等が熟成途中のワインを試飲し、完成前のワインを購入するシステムです。
この問題点は、ワイナリーが飲んで欲しいタイミングでワインを飲んでもらえないこと。
ネゴシアンたちもお仕事やし、ワインを良い状態で保管するのにも場所代とか空調代とかお金かかるし。
ってことで、ラトゥールはラトゥールが求めているタイミングでワインを飲んでもらうためにプリムールを廃止しました。
それに伴って、ワイン保管場所を新たに造ったりも。
この保管場所、デカすぎて規模の大きさに笑った。
- 参考;2017年、ボルドープリムールについて
- 参考;ワインニュース;2019年ものプリムール期間延期!
- 参考;【ワインニュース】2019年プリムール
- 参考;【ワインニュース】プリムール2019年、金額まとめ
- 参考;1855年メドック格付け1級、シャトー・ラトゥール
Château Margaux
Château Margaux(シャトー・マルゴー)は唯一マルゴー地方にあるワイナリー。
アペラシオンの名前を冠している珍しいワイナリーでもあります。
ここはやっぱり研究、実験かな。
他ワイナリーもやってるんやけど、マルゴーの印象が強い。
白ワイン醸造セラーの奥に実験用の部屋があって、小さなタンクで毎年何か実験してます。
コルクがいいのか、スクリューキャップがいいのか、っていう実験も行って、シャトー・マルゴーはコルクがいいという結論を出したのも印象的。
グラフに書いたのはギリシャ人オーナー、ということ。
1977年にAndré Mentzelopoulos(アンドレ・メンツェロプロス)がシャトー・マルゴーを購入。
今でこそ外国人オーナーや大手企業がワイナリーを所有していますが、当時は外国人の手にボルドーの有名ワイナリーがうつるなんて…!と世間を騒がせたそうです。
そしてこのMentzelopoulos(メンツェロプロス)家はワインの品質もあげ、名実ともにシャトー・マルゴーの、一流ワイナリーのオーナーとして認められたのも印象的です。
また、ワイナリー内に樽工房も持ちます。
これは以前記事にしたのでそちらをご覧いただければと思います。
Château Haut-Brion
Château Haut-Brion(シャトー・オー=ブリオン)は唯一ボルドーの街から近いペサック=レオニャンに位置しているワイナリー。
このワイナリーに限ってはもはやメドック地方ですらないです。
というのも、1855年当時は金額によって格付けが決められたので知名度も高く、金額も高く、取引されていたシャトー・オー=ブリオンのことは、多少地域が違っても見逃せなかったのです。
オーブリオンに関しては語らねばいけないことが沢山ある。
まずはNew French Claretと呼ばれたワインのこと。
ニュー・フレンチ・クレレです。
ボルドーで生産されているワインに「AOC Bordeaux clairet(ボルドー・クレレ)」というロゼワインが存在します。
立ち位置としてはロゼワインなのですが、赤ワインより薄く、ロゼワインより濃い色を持つワインです。
昔のワインはこのクレレの様なものだったそう。
17世紀中頃は熟成もほとんどせず、早飲みスタイルのワインが生産されていました。
それを変えたのがこのオー・ブリオン。
樽熟成を行い、今のボルドーワインの原型をつくりました。
それによってワインの色も濃くなり(今の赤ワイン)、当時沢山輸出されていた英国で「New French Claret(ニュー・フレンチ・クレレ/新しいフランスの赤ワイン)」と呼ばれました。
さらに昔は木製タンクばかり使用されていましたが、鋼タンク、ステンレスタンクをいち早く導入したのもこのシャトー・オー=ブリオンです。
木製タンクもいいところはもちろんあって、今も使っているワイナリーがたくさんあります。
が、新たなことに挑戦し続けるこのオー・ブリオンは素晴らしいな、と思うのです。
ちなみに現在オー・ブリオンで使っているステンレスタンクはオー・ブリオンが開発して、オー・ブリオン、そしてラ・ミッション・オー・ブリオンでしか使っているワイナリーがありません。
ちなみにですが、街に近いこともあり、ブドウ畑の温度が2~3度他のワイナリーより高いです。
それによって、オーブリオンが最初に収穫を始めることが多かったり。
と言っても他に町に隣接しているワイナリーもあるので、必ず最初!とは言えないのですが。
ここ、シャトー・オー・ブリオンもワイナリー内に樽工房を持ちます。
これは以前記事にしたのでそちらをご覧いただければと思います。
Château Mouton Rothschild
Château Mouton Rothschild(シャトー・ムートン・ロスチャイルド)はポイヤックの北側に位置しているワイナリー。
ラフィットの少し南、ポンテカネのすぐお隣です。
そしてムートンは唯一格付け2級から1級にあがったワイナリー。
実は、格付けの変更があったのはムートンだけではありません。
Château Cantemerle(シャトー・カントメルル)は格付け外から格付け5級に変わったのですが、それは1855年のことでした。
ちょっと話が逸れてしまいました。
そして、ムートンの特徴はなんと言ってもラベルですよね。
1945年以降、毎年異なるアーティストが手掛けるムートンのラベルは、発表されるたびにニュースになっています。
ブドウ品種
上の表で略記したブドウ品種。
表の中にブドウのフルネームを入れるのは難しかった…笑
赤ワイン用品種
- CS=カベルネ・ソーヴィニョン
- M=メルロー
- CF=カベルネ・フラン
- PV=プティ・ヴェルド
白ワイン用品種
- SB=ソーヴィニョン・ブラン
- Sé=セミヨン
- Sgris=ソーヴィニョン・グリ
- Mu=ムスカデル
ちなみにですが、メドック地方のAOCを持った白ワインの生産は認められていないので、AOCボルドー(ボルドーワイン)として販売されています。
熟成
熟成期間が18か月というのはボルドーの一般的な熟成期間です。
ちなみにこれは毎年決まって18か月、という訳ではなくて、年によって、ブドウの品質、ワインの品質によって熟成期間が変わります。
新樽使用率も同様。
一応決まっていますが、年によって多少の変動があります。
この新樽使用が多いのは五大シャトーの特徴でもあります。
以前書きましたが、新樽使用率が高い=いいワインではないと思っています。
- 参考;樽熟成について
これは、五大シャトーの畑は良いところに位置していて、ブドウのポテンシャルが高いので新樽率が高くてもバランスの取れたワインができるということ。
ちなみに、ボルドーでは新樽使用0%のワイナリーもあります。
参考記事
唯一後に格付け1級にあがった、シャトー・ムートン・ロスチャイルド
カトリックと強い繋がりを持つワイナリー、シャトー・ラ・ミッション・オーブリオン
メドック格付けワインを飲み始めるなら、シャトー・カントメルル
最後に
思ったより長くなってしまいました。
久しぶりに調べずに、書きたいことを書いてみましたが…どう?
こういうテイストの記事も増やそうかなぁ。
とはいえ、ワイナリー訪問したら書きたくなっちゃう。笑
書きたいことを書いていきますので、お付き合いどうぞよろしくお願いします。
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