唯一後に格付け1級にあがった、シャトー・ムートン・ロスチャイルド

左岸

今回お届けするのはChâteau Mouton Rothschild(シャトー・ムートン・ロスチャイルド)

これで、メドックの格付けワイナリー1級全部お届けしたことになりました!

1855年メドック格付けまとめのワイナリー名からそれぞれの記事に飛べるので、よろしければどうぞ。

本文でRothschildを「ロスチャイルド」「ロスシルド」「ロスシルト」と色々書いていますが、公式の日本語ホームページを参照して書いています。

 

歴史

1853年5月11日

Nathaniel de Rothschild(ナタニエル・ド・ロスシルド)男爵は来賓に自身のワインを提供したいと考え、オークションでChâteau Brane-Mouton(シャトー・ブラーヌ・ムートン)を落札しました。

ポイヤックの中心に位置しているこのワイナリーはChâteau Mouton Rothschild(シャトー・ムートン・ロスチャイルド)と名付けられます。

1922年

Nathaniel de Rothschild(ナタニエル・ド・ロスシルド)男爵のひ孫であるPhilippe de Rothschild(フィリップ・ド・ロスシルド)男爵がワイナリーを相続します。

1924年

ワインはネゴシアンに樽で販売していましたが、ワイナリーでの瓶詰を開始します。

Philippe de Rothschild(フィリップ・ド・ロスシルド)男爵はJean Carlu(ジャン・カルリュ)にラベルの絵を以来します。

しかし、当時とても斬新だったため翌年は同じものが使われませんでした。

1926年

ワイナリーで瓶詰めをすることを決定したため、ワイナリー内でのストック量が増えました。

そのため、建築家Charles Siclis(シャルル・シクリス)に依頼し、長さ100メートルの大きな熟成室を建築します。

1930年

Mouton Cadet(ムートン・カデ)の生産を開始します。

1933年

Philippe de Rothschild(フィリップ・ド・ロスシルド)男爵は、Baron Philippe de Rothschild(バロン・フィリップ・ド・ロスシルド)社の前衛となるポイヤックの小さなネゴシアンを買収します。

ネゴシアンBaron Philippe de Rothschild(バロン・フィリップ・ド・ロスシルド)は現在AOCボルドーの一番販売数の多いMouton Cadet(ムートン・カデ)の生産と販売を行っています。

1945年

連合軍の勝利と、自身の軍の帰還を祝して、Philippe Jullian(フィリップ・ジュリアン)にChâteau Mouton Rothschild(シャトー・ムートン・ロスチャイルド)のラベルの絵を依頼します。

ラベルに描かれた「V」の字は勝利(Victoire/ヴィクトワール)を示し、このラベルも成功を収めます。

以来、毎年異なる現代アーティストがムートンのラベルを手掛けています。

1962年

Baron Philippe de Rothschild(バロン・フィリップ・ド・ロスシルド)男爵と、2人目の妻であるPauline(ポーリーヌ)夫人の考えで、当時のフランス政府文化大臣、André Malraux(アンドレ・マルロー)出席のもと、 Musée du Vin dans l’Art(ミュゼ・デュ・ヴァン・ダン・ラー/芸術の中のワイン博物館)がオープンします。

この博物館は大きな熟成室に隣接していて、ワインやブドウ畑に関するすべての時代の美術品が飾られています。

1973年

Philippe de Rothschild(バロン・フィリップ・ド・ロスシルド)男爵の尽力で、1855年の格付けの不当性が認められ、1級に格上げされます。

1981年

Philippe de Rothschild(バロン・フィリップ・ド・ロスシルド)男爵の一人娘であるPhilippine(フィリピーヌ)夫人が企画した「Mouton Rothschild – L’Art et l’Etiquette(ムートン・ロスシルド―アートとラベル)」展が一般公開されます。

以来、世界中の40以上もの博物館で展示してきました。

1988年

Philippe de Rothschild(バロン・フィリップ・ド・ロスシルド)男爵の死により、娘のPhilippine(フィリピーヌ)夫人と3人の子供たち、Camille(カミーユ)、Philippe(フィリップ)、Julien(ジュリアン)と共にワイナリーを相続します。

人気舞台俳優であったhilippine(フィリピーヌ)夫人は自身のキャリアをあきらめ、ワイナリーを継ぎました。

彼女はBaron Philippe de Rothschild S.A.(バロン・フィリップ・ド・ロスシルド)社の監査役会会長に就任しました。

1991年

白ワインAile d’Argent(エール・ダルジャン)の販売を開始します。

1993年

Philippine(フィリピーヌ)夫人がセカンドワインであるLe Petit Mouton de Mouton Rothschild(ル・プティ・ムートン・ド・ムートン・ロスチャイルド)の販売開始します。

2003年

Château Mouton Rothschild(シャトー・ムートン・ロスチャイルド)誕生から150年経ちました。

Philippine(フィリピーヌ)夫人は祖先であるNathaniel de Rothschild(ナタニエル・ド・ロスシルド)男爵(1812 – 1870年)をこの年のラベルに描くことにしました。

男爵の肖像画の背景は、ワイナリーを購入した証明書です。

2006年9月28日

ビバリーヒルズのChristie’s(クリスティーズ)で開催されたオークションで、1945年Château Mouton Rothschild(シャトー・ムートン・ロスチャイルド)が12本出され、290,000USドルで落札されました。

同時に、1945年のマグナムボトルが345,000USドルで落札されました。

これにより、Château Mouton Rothschild(シャトー・ムートン・ロスチャイルド)1945年は世界で一番高いワインとなりました。

2012年

舞台装飾家Richard Peduzzi(リシャール・ペドゥッツィ)とボルドーの建築家Bernard Mazières(ベルナール・マジエール)が一族所有ワイナリーの代表取締役社長Philippe Dhalluin(フィリップ・ダリュアン)と共に新しい醸造室とブドウ畑が見渡せる試飲ルームの建設を行いました。

2014年

Philippine(フィリピーヌ)夫人が亡くなりました

現在は彼女の3人の子供Camille Sereys de Rothschild(カミーユ・セレイス・ド・ロスシルド)とPhilippe Sereys de Rothschild(フィリップ・セレイス・ド・ロスシルド)、Julien de Beaumarchais de Rothschild(ジュリアン・ド・ボーマルシェ・ド・ロスシルド)がワイナリーの共同所有者です。

Baron Philippe de Rothschild(バロン・フィリップ・ド・ロスシルド)社の監査役会会長である長男Philippe(フィリップ)のサポートをCamille(カミーユ)とJulien(ジュリアン)が行っています。

生産ワイン

CHATEAU MOUTON ROTHSCHILD

Château Mouton Rothschild(シャトー・ムートン・ロスチャイルド)は言わずもがな、ファーストワイン。

この記事では基本的にこのワインのことをお届けしています。

LE PETIT MOUTON

Le Petit Mouton de Mouton Rothschild(ル・プティ・ムートン・ド・ムートン・ロスチャイルド)はセカンドワイン。

若木から採れたブドウを使って造られています。

AILE D’ARGENT

Aile d’Argent(エール・ダルジャン)は同じ場所でつくられている白ワイン。

1980年代前半に植えられた7 ヘクタールの畑からできています。

  • 53%ソーヴィニョン・ブラン
  • 35%セミヨン
  • 11%ソーヴィニョン・グリ
  • 1%ムスカデル

でつくられています。

ブドウ畑

赤ワイン用の畑を90ヘクタール、白ワイン用を7ヘクタール所有しています。

  • 80%カベルネ・ソーヴィニョン
  • 16%メルロ
  • 3%カベルネ・フラン
  • 1%プティ・ヴェルド

を栽培しています。

白ワイン用品種はセミヨン、ソーヴィニョン・ブラン、ムスカデルを栽培しています。

収穫と選果

まさかの500人という大人数で収穫を行います。

小さな籠に入れて、ブドウがブドウを潰さないよう丁寧に収穫していきます。

収穫されたブドウは、まずは人の力で選果されます。

そして、除梗されたものは光学選果機で選果されます。

選ばれたブドウたちは、ポンプを使わず重力でタンクの中に入れられます。

醸造施設

タンクはステンレス木製タンクを所有しています。

ステンレスタンクは瓶詰め前に使用するのみで、醸造に使うのは木製のものだけ。

44区画あるので、44の大きさの異なるタンクを所有しています。

これによって、1区画1タンクで醸造をおこなえるようになりました。

醸造中はルモンタージュを。

そして、全てのタンクの試飲も1日に3回行っています。

アルコール発酵が終わった後は10~20日間醸しを行います。

そしてマロラクティック発酵を。

12月頃にブレンドを行って、熟成を行います。

熟成

熟成中は3か月に1回澱引きを行います。

熟成期間は18か月、新樽使用は100%

まとめ

ブドウ品種

80%カベルネ・ソーヴィニョン

16%メルロ

3%カベルネ・フラン

1%プティ・ヴェルド

タンク

木製タンク

熟成期間

18か月

新樽使用率

100%

 

ワイナリー情報

Château Mouton Rothschild(シャトー・ムートン・ロスチャイルド)

住所;Château Mouton Rothschild, 33250 Pauillac

電話;+33 5 56 73 21 29

 

参考記事

1855年メドック格付けまとめ

ワイナリーSNSまとめ、メドック編

メドック格付けワイナリー、セカンドワインリスト

2018年野田祥子的メドック格付け

メドック地方の土地柄を詳しく!

ワイン醸造:アルコール発酵について。

AOCボルドーで認められている品種(赤/白/ロゼ)

ボルドーワイン=ブレンドワイン

最近のボルドーワインについて

ファーストワインとセカンドワイン…って何?

材質別タンクのメリット・デメリット

最後に

すっかり書くのを忘れていたムートン・ロスシルドについてお届けしました!

今回載せたもの以外にも沢山写真があるので、twitterでも共有しようかな。

また前みたいにワイナリー見学できるようになったら、色々訪問してこちらでも共有します!


感想やこんな内容書いて欲しい!などあればお気軽に連絡ください。
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コメント

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