1855年、メドック格付け3級に選ばれているワイナリー、シャトー・パルメをご紹介します。
ビオディナミ栽培をしているワイナリーとしても有名ですよね。
歴史
1720年~1740年まで、Château de Gascq(シャトー・ド・ガスク)をボルドー人のGascq(ガスク)家が所有していました。
未亡人となったガスク夫人(Marie Brunet de Ferrière/マリー・ブルネ・ド・フェリエール)をCharles Palmer(シャール・パルメ)大佐に売却します。
1814年、大佐が自らの名前を付けてChâteau Palmer(シャトー・パルメ)が生まれました。
パルメ大佐は自らワイナリーを訪問することなく、ワイナリーの所有者になりましたが、18世紀初頭からワインの品質もあり、シャトー・パルメは名声を得ます。
大佐は、30年程ワイナリーのオーナーでありつづけ、その間に畑の拡大、永遠不変のスタイルを構築、さらにモダン化を推し進めます。
1853年、Émile Pereire(エミリー・ペレール)とIsaac Pereire(イザック・ペレール)兄弟が買収します。
彼らは、パリで鉄道や不動産、銀行などの仕事をする一族です。
この兄弟はボルドーで大きくなり、グラン・クリュのワイナリーを持つという夢がありました。
その夢もあってか、お互いにシャトー・パルメの所有者に。
ネオ・ルネッサンス様式のお城が建てられたのも、この兄弟によってです。
(余談ですが、シャトー・ピション・バロンのお城と同じ建築家の作品です。
シャトー・ピション・バロンについてはポイヤックの2級シャトー、シャトー・ピション・バロンをご覧ください。)
彼らはたった1年でお城を立てました。(1854年完成)
19世紀のうどん粉病、フィロキセラ、ベト病、さらに第一次世界大戦などを経てもPereire(ペレール)家がワイナリーを所有し続けます。
1938年、4つの家系がワイナリーの所有者となります。
繊維商、ワインのネゴシアンでもあるオランダ/フランスのMähler-Besse(メラル・ベス)家、
イギリス、ドイツ、フランスにグランクリュのワインを販売するイギリスのSichel(シッシェル)家が主にワイナリーの経営を行います。
(また余談。学生時代Sichel氏が卒論の審査員でした。めっちゃ緊張した…)
オーナーが、フランス、イギリス、オランダの方なので、今現在もお城には3つの旗が掲げてあります。
現在はThomas Duroux(トーマ・ドゥルー)がシャトー・パルメの指揮を執り、素晴らしいワインを生産し続けています。
ブドウ畑
ジロンド川から900メートルのところに66ヘクタール畑を持ちます。
メドックでは、畑から水(川や海)が見えるところはいいワインができると言われています。
パルメはかなり近い!
川から近いことによるメリットはメドック地方の土地柄を詳しく!をご覧ください。
土壌
グラーヴと呼ばれる石がたくさんあります。
さらに砂や粘土を多く含みます。
ブドウ品種
3品種を植えています。
- 47%メルロ
- 47%カベルネ・ソーヴィニョン
- 6%プティ・ヴェルド
メドックにしては、メルロの割合が高いワイナリーです。
それによって、パルメらしい繊細で、フルーティなワインを生産しています。
栽培方法
現在はビオディナミックで栽培しています。
2004年から化学肥料を大幅に減らし、2008年からビオディナミとしての栽培を始めました。
そして2014年から100%ビオディナミとして栽培し、2018年に認定を得ます。
収穫から醸造まで
収穫されたブドウは、2度選果を行います。
その後除梗をし、さらに光学選果機で選果を行います。
この時に密度や色、大きさなどで必要のないブドウが除かれます。
選ばれたブドウは、Cuvon(キュボン)と呼ばれる大きなじょうごみたいなもので2階に運ばれ、タンクの中に入れられます。
醸造施設
醸造はステンレスタンクで。
タンクは80~180ヘクトリットルのものを所有しています。
一番大きい180ヘクトリットルのものは、ブレンドする際に使用するものです。
比較的大きいものは1995年に、小さいものは2012年に導入しました。
発酵
アルコール発酵中はルモンタージュを1日に2~3回行います。
そして、必要であればデレスタージュを。
(参考;ワイン醸造:アルコール発酵について。)
熟成施設
ボルドーの多くのワイナリーは1年目の熟成室と2年目の熟成室を持ちますが、ここは奇数年の熟成室と偶数年の熟成室を持ちます。
つまり、一度熟成が始まったら熟成室を変えることなく熟成を終えます。
樽について
7社の樽を利用しています。
6社フランス、1社オーストリアののものです。
熟成期間
シャトー・パルメは22~22か月熟成、60~70%新樽使用です。
アルテ・エゴは16~18か月熟成、15~35%新樽使用です。
セカンドワイン
前にリスト化した時に書きましたが、シャトー・パルメではセカンドワインとは言っていません。
セカンドワインといよりは、シャトー・パルメの造るもう一つのワインを製造しています。
参考記事
感想やこんな内容書いて欲しい!などあればお気軽に連絡ください。 sachiwines@gmail.com その他色々やってるので、良かったら見てください☆ Instagram・sachiko0418 レストランブログ Facebook・Bordeaux-Japon.net ボルドージャポンネット Homepage・SachiWines 旧ブログ・Bordeaux-Japon.net ボルドージャポンネット レストランブログ
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