オーガニック栽培ができないと長年言われていたメドック地方。
その中、かなり前からビオディナミック栽培を行っているワイナリー、Château Durfort-Vivens(シャトー・デュフォール・ヴィヴァン)です。
歴史
11世紀 |
Quercy(ケルシー)を起源とする騎士、Durfort de Duras(デュフォール・ド・デュラス)は後に教皇Clément V(クレモン5世)となったBertrand de Goth(ベルトラン・ド・ゴス)の子孫と結ばれた後に、Duras(デュラス)の領主となりました。 |
14世紀 |
Durfort de Duras(デュフォール・ド・デュラス)はマルゴーに進出して、拠点をおきました。 これがワイナリーの始まりとなりますが、まだ狩猟をしているだけで、ブドウ畑はありません。 |
1450年 |
Thomas de Durfort(トーマ・ド・デュフォール)がマルゴーの領主となります。 |
16世紀 |
初めてブドウ畑が植えられます。 |
18世紀 |
第三代アメリカ大統領になるThomas Jefferson(トーマス・ジェファーソン)氏の格付けで、このワイナリーはChâteau Latour(シャトー・ラトゥール)、Château Lafite Rothschild(シャトー・ラフィット・ロートシルト)、Château Margaux(シャトー・マルゴー)の次に偉大なワインだと選ばれます。 |
1824年 |
モンテスキューの友人の、Robert Labat de Vivens(ロベルト・ラバ・ド・ヴィヴァン)子爵が遺産相続によりDurfort(デュフォール)の領主となります。 これによって、ワイナリー名がChâteau Durfort-Vivens(シャトー・デュフォール・ヴィヴァン)となりました。 |
1855年 |
格付けでChâteau Durfort-Vivens(シャトー・デュフォール・ヴィヴァン)は2級に選ばれます。 |
この後、ワイナリーの暗黒期がやってきます。 |
|
1937~1961年 |
Château Durfort-Vivens(シャトー・デュフォール・ヴィヴァン)の畑で採れたブドウは、Château Margaux(シャトー・マルゴー)のワイン製造に使われていました。 この頃から、忘れられたワイナリーとなってしまいます。 |
1961年 |
Lucian Lurton(ルシアン・ルリュトン)氏がワイナリーを購入します。 ただ、今までワイン製造をしていなかったので、醸造施設すらありませんでした。 アンドレ・ルリュトン氏の死去でも触れていますが、Lurton(ルリュトン)家はマルゴー地区にワイナリーをいくつか持っていたので、同アペラシオンの別ワイナリーで醸造を行っていました。 アペラシオンは同じだったので、AOCマルゴーのワインとして問題なく販売できていました。 さらに、ブドウ畑もChâteau Durfort-Vivens(シャトー・デュフォール・ヴィヴァン)のワインをつくるための調査を進め、ブドウの品質(ワインの品質)が上がります。 |
Lucian Lurton(ルシアン・ルリュトン)氏には10人子供がいました。 沢山ワイナリーを持っていたので、一人ずつ相続させようと決めます。 |
|
1992年 |
Gonzague Lurton(ゴンザッグ・ルリュトン)氏が跡を継ぎます。 |
1995年 |
醸造施設も完成し、ここChâteau Durfort-Vivens(シャトー・デュフォール・ヴィヴァン)にて醸造が始まります。 |
2006年 |
Château Durfort-Vivens(シャトー・デュフォール・ヴィヴァン)のワインをミネラル豊富でフレッシュなものにしたいという考えから、醸造コンサルタントとしてAlain Moueix(アラン・モエックス)氏を迎えます。 |
2007年 |
ラベルが変更になり、今私たちが知るラベルになります。 |
2009年 |
10haをビオディナミック栽培に。 |
2012年 |
100%ビオディナミック栽培に。 |
2016年 |
ビオディナミック認証を得る。 |
2017年 |
アンフォラ熟成を開始します。 |
ワイナリー相続の決定方法が面白い
先ほど歴史部分で、Lucian Lurton(ルシアン・ルリュトン)氏による、子供たちへのワイナリー相続の話を書きました。
子供たちは10人いたので、それぞれが欲しいワイナリーを1位から3位まで書いたそう。
その投票用紙の結果でLucian Lurton(ルシアン・ルリュトン)氏が誰にどのワイナリーを相続させるかを決定さました。
その時、現オーナーのゴンザック・ルリュトン氏は
1番 シャトー・デュフォール・ヴィヴァン 2番 シャトー・デュフォール・ヴィヴァン 3番 シャトー・デュフォール・ヴィヴァン |
と記載したそうです。
シャトー・デュフォール・ヴィヴァンを継げなければ、ワインの世界に足を踏み入れない、と言い切ったそう。
(当時、金融関係のお仕事をしていました)
結果、Gonzague Lurton(ゴンザッグ・ルリュトン)氏が相続することになりました。
ビオディナミック栽培の流れ
2000年からビオディナミック栽培をしようと構想がありました。
そこで土壌の再調査を行い、以前より小さな区画に区画を再分割しました。
2009年に50ヘクタールある畑の内、10ヘクタールをビオディナミック栽培とし、2012年に100%ビオディナミック栽培となりました。
その後、2016年にビオディナミックの認定を得ました。
さらに2017年からアンフォラでの熟成を開始しました。
アンフォラの熟成については、もうすこし後にある「熟成」にてお伝えします。
ブドウ畑
畑面積は55ヘクタール。
ボルドーで栽培が認められている品種の内
- 80%カベルネ・ソーヴィニョン
- 18%メルロ
- 2%カベルネ・フラン
を栽培しています。
収穫から醸造
季節労働者と共に、9月中旬から10月にかけて約3週間、収穫を行います。
選果は3回行われるので、かなり厳しくブドウをチェックしています。
醸造
醸造室を3つ所有しています。
コンクリートタンクが主ですが、ステンレスタンクと木のタンクも所有。
外のワイナリーと同様、区画ごとの醸造を可能にするためにたくさんのタンクを持っています。
タンク内での作業
ブドウをタンクに入れ、発酵前に低温の醸し(5~10度)を行います。
その後、温度を上げてアルコール発酵を。
その間の攪拌作業はルモンタージュを1日に2回、必要であればピジャージュも行います。
マロラクティック発酵もタンクの中で行います。
発酵後、ブレンドを行い熟成が始まります。
熟成
バニラやブリオッシュの香りを求めて、樽の焼き加減はミディアム。
5社の樽会社の樽を使用しています。
澱引きの回数は最低限に。
熟成時の特徴
先ほども少し触れましたが、アンフォラでの熟成を行っています。
いつも40~60%新樽使用で、1回ワインを熟成させた樽とアンフォラで熟成をしています。
しかし、2018年に事件発生します。
ベト病。
何度も書いていますが、シャトー・デュフォール・ヴィヴァンはビオディナミック栽培。
残念ながらベト病により、90%ものブドウが被害に遭ってしまいました。
そこで一定期間のアンフォラ100%熟成に挑戦!
すると、プリムールですごく良い評価を得たので、今後アンフォラの数を増やしていくそうです。
テイスティング
ここ最近訪問したワイナリーで一番印象的だったのがここ!
この時の試飲は2010年と2016年の試飲でした。
歴史年表を見てもらえると、2016年にビオディナミの認証を得ています。
2010年は1部ビオディナミ栽培をしていたときです。
幸せなことに当主自ら一緒に試飲してくれて、色々話を聞きながらの試飲は最高でした!
感想
2010年は美しいマルゴーのワイン、2016年は美しいシャトー・デュフォール・ヴィヴァンのワインやった。
どっちも綺麗でエレガントなワインやけど、全然特徴が違う!
2010年は綺麗でバランス取れてて、とっても心地が良かった。
ビンテージの影響もあるけど、フルーツの凝縮感もあるし、でもタンニンは重くない。心地いい。
おいしい料理と、夫婦でゆったり飲みたい、秋めいてきたころに飲みたいな。
2016年は同じくバランスいいねんけど、もっとエネルギッシュ!
例えるなら、毎年ウィーンで行われているニューイヤーコンサートの最後に演奏されるラデツキー行進曲みたい。
ホールに居る全員で手をたたくアレ。
うきうき楽しくて、みんなと共有したくなるアレ。
聴いた後、あぁ良かったなぁ、楽しかったなぁって思うアレ。笑
ワインからエネルギーを貰えるような、そんなワインでした。
まとめ
ブドウ品種 |
80%カベルネ・ソーヴィニョン 18%メルロ 2%カベルネ・フラン |
タンク |
コンクリート、木製、ステンレス |
マロラクティック発酵 |
タンク内 |
熟成期間 |
18か月 |
新樽使用率 |
40~60% |
ワイナリー情報
Château Durfort Vivens(シャトー・デュフォール・ヴィヴァン)
住所;3 Rue du General de Gaulle, 33460 Margaux-Cantenac
電話;+33 5 57 88 31 02
参考記事
メドック1級シャトー、Château Lafite Rothschild
最後に
ビオディナミック栽培をしているメドック格付けワイナリーといえば、シャトー・ポンテ・カネが有名ですが、実はシャトー・デュフォール・ヴィヴァンの方が先にビオディナミック栽培を行っていました。
2018年のことがあり、アンフォラ使用率が増えるのでは?と思います。
また新たな情報がわかれば、追記します!
感想やこんな内容書いて欲しい!などあればお気軽に連絡ください。 sachiwines@gmail.com その他色々やってるので、良かったら見てください☆ InstagramやTwitter レストランブログ Facebook・Bordeaux-Japon.net ボルドージャポンネット Homepage・SachiWines 旧ブログ・Bordeaux-Japon.net ボルドージャポンネット レストランブログ
コメント
[…] Château Durfort-Vivens […]
[…] 参考;ビオディナミック栽培のワイナリー、シャトー・デュフォール・ヴィヴァン […]
[…] ビオディナミック栽培のワイナリー、Château Durfort-Vivens […]