ポムロールに引き続き、メドック地方についての記事です。
ブログ開設当時に書いたものはありましたが、今回は新たに地図も含めてお届けしたいと思っています。
目次
歴史
1世紀 |
この地域にブドウ畑が登場しました。 後にボルドーとなるBurdigalaの住民であるBituriges Vivisquesが耐寒性の高い新品種、カベルネの先祖となるBituricaを栽培しました。 |
100年 | ボルドーの町の周り、都市部のブドウ畑からワインを輸出するようになりました。 |
1152年 | 後のイングランド国王Henri PlantagenetとAliénor d’Aquitaineが結婚しました。 |
以来、イギリス人が食品、織物、金属を輸出し、ボルドーワインを輸入するなど、重要な商業交流が行われました。 ボルドーワインはその淡い色から「Claret」と呼ばれていました。 イギリス船はジロンド河口からボルドー港へ容易に入ることが出来たことから、ワインの輸送が簡単になり、ボルドーのブドウ畑とボルドー港が発展しました。 ボルドーは3世紀に渡り、イギリスに向けてのワイン生産、販売、出荷、流通を確立しました。 |
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14~15世紀 |
BlanquefortからMargaux、Château Latourの周りのPauillacまでブドウ畑が植えられました。 |
16世紀 | 議員やネゴシアンたちによって正真正銘のワイン生産者が誕生しました。 |
17世紀初期 | 砂利の丘、最も美しい場所に投資が行われました。 |
17世紀 | イギリスに続き、他の国、特にオランダでワインの購入が始まり、湿地の排水、樽輸送での安全確保、ウイヤージュなど1世紀に渡ってワイン製造技術を洗練されました。 |
18世紀中頃 |
ワイン醸造の技術がさらに緻密になりました。 そして「ファーストワイン」「セカンドワイン」の概念が登場しました。 当時はボルドーの有名な地区、Chartronsでワインの熟成を行っていました。 |
1760年 | Ségur家、Pontac家、Brane家などのボルドーの貴族がメドック地方に多大な投資を行い、そのおかげでメドックのほぼ全てのブドウ畑が構成されました。 |
18世紀 |
メドックの名声が高まり、ボルドーの黄金期が到来しました。 当時、月の港(ボルドー港)は世界でも有数の商業港で、やせた土壌だと言われていたボルドーの畑で作られたワインの商業拡大を後押ししました。 |
18世紀末 |
イギリスはボルドーワイン輸出の10%を占めていました。 当時、ロンドンの高級志向が高級ワインを支えていました。 そして、Grand CruやChâteauという概念が登場しました。 |
1855年 |
パリ万博でメドックの格付けが発表されました。 以前の記事 |
1858年 |
最初のCrus Bourgeoisが制定されました。 |
19世紀 |
ボルドーのブドウ畑の機能停止。 というのもアメリカとの貿易の増加により、地域のブドウ畑を荒廃させる病気が現れたからです。
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1950年後半 | ブドウ畑は約25000haありましたが、これらの病気、2度の世界大戦、経済危機、1956年の霜の被害を受け、6000haまで減りました。 |
20世紀後半 |
近代化と投資の時代到来です。 また40年でブドウ畑の再建も行われ、面積が2.5倍、約15000haまで戻りました。 |
1983年 |
長い暗黒期の後、アメリカの若手評論家パーカーが1982年ビンテージを絶賛しました。 それにより金額が高騰し、アメリカの消費者が戻ってきました。 |
地図
よく見るこの地図、書いてみました。
メドック地方の大きさは16000ha。
ボルドーのブドウ畑の15%を占める広大なエリアです。
そしてこの広大な地域から1億本ものワインが毎年販売されています。
その内50%の5000万本のワインが海外へ輸出されているのも特徴。
輸出されているワインの40%がヨーロッパ諸国で消費されており、残りの60%がその他海外の消費です。
これは年間6億~10億€にものぼり、年によってはボルドー赤ワイン全体の半分以上に及ぶこともあります。
メドックには約600のシャトーと1000弱のブランドが存在します。
この600もあるシャトーには、家族経営の小さなワイナリーから有名な大手ワイナリーまで様々な生産者が存在します。
グーグルマップ
GoogleMapにそれぞれのアペラシオンの境界や、格付けワイナリーをまとめました。
1855年の格付けワイナリーと、Crus Bourgeoisに印をつけました。
拡大してみることもできるので、ご活用ください!
AOCヒエラルキー
この3つに分けられます。
ボルドーワインとして販売するための一番大きな縛りが「Bordeaux」と「Bordeaux Supérieur」です。
が、今回の記事のテーマとずれてしまうので、今回は説明を省きます。
メドック地方のアペラシオンについて、それぞれ書いていきます!
アペラシオン・スー=レジオナル
今回で言うと「Médoc」「Haut-Médoc」がこのSous-Régionalesの区域です。
先ほどと同じ地図ですが、北側にあるメドックとその南側から長く続くオー・メドックです。
オー・メドックはマルゴー地区の南、ボルドーに近い場所までが範囲です。
メドック
まずはMédoc地区について。
ここは、ガロンヌ砂利、ピレネー砂利、そして粘土石灰土壌を主に有しています。
ただ、5560haと広い地域なので畑の場所によって土壌は様々です。
ちなみに5560haはメドック全体の34%!
その中に440もの生産者さんがいて、平均面積は13ha弱です。
そして年間平均3千600万本のワインを生産しています。
ワイナリーのカテゴリー
1855年の格付けに選ばれているワイナリーはありません。
代わりにCrus Bourgeoisに選ばれているワイナリーが122。
Crus Artisantsに選ばれているワイナリーが9。
その他ワイナリーが76です。
オー=メドック
Haut-Médoc地区について。
場所は広大ですが、ブドウ畑の面積は4318haとメドック地区よりも小さいです。
ちょっとこれには驚きですよね。
これはメドック地方全体の28%です。
ちなみに、年間平均生産本数は2千950万本で、これを301の生産者が造っています。
1件のワイナリーにおける平均が14ha強なので、メドックよりも大きいワイナリーが多いです。
ワイナリーのカテゴリー
1855年の格付けに選ばれているワイナリーは5件。
Crus Bourgeoisが88件。
Crus Artisantsが17件、その他ワイナリーが116件。
さらにCave Coopératives、つまりワインの農協が1件あります。
アペラシオン・コミュナル
女性的なワインとして知られるマルゴー地区から、一番北はポイヤック地区までの6アペラシオンがこのAppellations Communales(アペラシオン・コミュナル)です。
それぞれのアペラシオンについて、メドック、オー・メドック同様にお伝えします。
マルゴー
Margaux地区です。
ここは1500haと、先ほどまでと比べると小さいですが、アペラシオン・コミュナル内では大きい地域。
その中に65の生産者がいるので、平均の畑面積は23ha強。
他のアペラシオンと比べても、一つのワイナリーが比較的大きい畑を所有している地域です。
そしてこのマルゴーは、長さ6km、幅2kmに渡るガロンヌ砂利が広がる台地を持ちます。
年間大体900万本のワインを生産しています。
ワイナリーのカテゴリー
1855年の格付けに選ばれているワイナリーが21件とかなり多いです。
そしてCrus Bourgeoisが10件。
Crus Artisantsが4件、その他ワイナリーが32件あります。
ムーリス・アン・メドック
Moulis en Médocはメドックで一番小さい、610haのアペラシオンです。
この中に46の生産者がいるので、平均面積は13ha強。
生産本数は430万本が平均です。
土壌はガロンヌ砂利からピレネー砂利、粘土石灰土壌と様々です。
ワイナリーのカテゴリー
1855年の格付けに選ばれているワイナリーはないですが、Crus Bourgeoisが15件あります。
Crus Artisantsが1件のみ、その他ワイナリーが21件あります。
リストラック=メドック
次はListrac-Médocです。
787haがその範囲で、メドック全体の5%を占めます。
55の生産者がいるので、各々の平均所有畑は14ha強。
ここでは年間平均250万本のワインが生産されています。
リストラックは標高が43メートルとメドックのなかではかなり高いです!
西側にはピレネー砂利が、東側にはガロンヌ砂利、そして中央には石灰土壌が広がります。
斜面によって、排水性に優れており、少し涼しい地域です。
ワイナリーのカテゴリー
こちらも1855年の格付けワイナリーはなく、Crus Bourgeoisが14件あります。
Crus Artisantsは1件、その他ワイナリーが12件、さらにCave Coopérativesも1件あります。
サン=ジュリアンSaint-Julien
次はSaint-Julienです。
ここは畑の85%が1855年の格付けワイナリーという驚きの地域!
畑の面積は950ヘクタールとそれほど大きくないですが、その中に生産者が19、つまり平均の面積が48ha弱と、他の地域と比べてもワイナリー1件当たりの面積が大きいです。
生産量は620万本が年間平均です。
土壌は、アペラシオン全体でかなり均一感があるのもここサン・ジュリアンの特徴。
Saint-Julien-Beychevelleにおける砂利層は長さ5㎞、幅3.5㎞にも及びます。
ワイナリーのカテゴリー
先ほども書きましたが、ここはアペラシオンの面積に比べると格付けワイナリーが11件と多いです。
代わりに、Crus Bourgeoisワイナリーはなく、Crus Artisantsが1件のみ。
その他ワイナリーが7件あります。
ポイヤック
Pauillacは1855年の格付け1級ワイナリーが一番多い地域としても有名です。
1213haと、メドックの7.5%を占めています。
生産者は54なので、1件当たりの平均は22ha強です。
年間720万本を平均的に生産しています。
沢山の砂利土壌を所有していて、そのやせた土地が素晴らしいワインの生産を可能にしています。
ワイナリーのカテゴリー
1855年の格付けワイナリーは18件。
Crus Bourgeoisは3件、ですがCrus Artisantsはありません。
その他ワイナリーが22件、Cave Coopérativesも1件あります。
サン=テステフ
最後はSaint-Estèpheです。
サンテステフはメドックのほぼ中央に位置しているアペラシオンでもあります。
1229haと、メドック全体の8%を占めています。
ここに74の生産者がいるので、平均は17ha弱です。
生産本数は800万本と結構多い。
アペラシオンでは、石英と小石が多く、表面には砂礫土壌が広がっています。
ワイナリーのカテゴリー
1855年の格付けワイナリーは5件で、Crus Bourgeoisが19件。
さらにCrus Artisantsが1件とその他ワイナリーが31件あります。
Cave Coopérativesも1件。
まとめ
全体的なメドックアペラシオンについてまとめたグラフも載せておきます。
畑はやはり、メドックとオーメドックの占める割合が高いですね。
生産者数も、メドックとオーメドックが多く、この2つのアペラシオンで3分の2程度です。
とはいえ、あまり有名でない生産者さんが多いので、日本で目にするワインはそれほど多くないのが現実です
それぞれのアペラシオンにおけるワイナリーの平均畑面積。
サンジュリアンが群を抜いて大きいのは、格付けワイナリーが多いのもその理由の一つだと思います。
どの地域でも、格付けワイナリーの所有している畑の面積は、格付け以外のワイナリーより多いです。
参考記事
最後に
今回はメドック地方についてまとめてみましたが、如何でしょうか。
その他アペラシオンについても、色々調べているのでまとめたら共有したいと思います!
数字で見ると、今までと違った面を知れて面白い!
次は…どのアペラシオンにしようかなぁ。
感想やこんな内容書いて欲しい!などあればお気軽に連絡ください。 sachiwines@gmail.com その他色々やってるので、良かったら見てください☆ InstagramやTwitter レストランブログ Facebook・Bordeaux-Japon.net ボルドージャポンネット Homepage・SachiWines 旧ブログ・Bordeaux-Japon.net ボルドージャポンネット レストランブログ
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