小さな生産者さんにも関わらず、日本でかなり有名なPaul Giraud。
コニャックについて詳しく知らない人でも、Paul Giraudは知っている人が多いのではないでしょうか。
始めに書いたのが2019年で、2021年に追記、その後2023年に追記。
皆さんが気になっているだろう息子さんのことも最後に触れています。
畑
自社畑を持っていることでも有名なPaul Giraud。
今現在、50ヘクタールを所持しています。
昔はすべて手摘みでしたが、現在は50%が手摘み収穫、50%が機械収穫と変化しています。
手摘みは酸化も少なく、綺麗なブドウのみを収穫できるというメリットがありますが、機械収穫の4倍高いというデメリットがあります。
収穫者は毎年30人程度。
3週間かけて収穫を行います。
ちなみに機械を使うのは4日間程度で後は手摘みです。
やっぱり機械収穫は早く収穫できるのが何よりもメリットですね。
実はPaul Giraud氏、自社のコニャックだけでなく、大手のために蒸留酒も造っています。
もちろん、手摘み収穫されたものはすべて自社用に蒸留していますが、全体の15%~20%を大手(Hennessy、Rémy Martin、Martell)のために造っています。
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醸造
コニャック製造には白ワインの存在が不可欠。
Paul Giraudではすべてコンクリートタンクで醸造を行っています。
また、コニャックに使われる白ワインは酸が高く、香りがあまりないのが特徴。
そのまま飲むとそれほど美味しくないのは、蒸留酒用の原酒ならでは。
蒸留
蒸留器は18ヘクトリットルと、14ヘクトリットルの2つ。
澱と共に蒸留するスタイルです。
蒸留前のワインはアルコール度数9度、1度目の蒸留で27度へ、2度目の蒸留で72度までアルコール度数が上がります。
Paul Giraud氏の蒸留は昔ながらの方法。
毎年蒸留を始めたら、最初数日はアルコールメーターを使ってカットを決めますが、数日経ったら、計器を何も決めずにカットを決めるらしい。
何でか聞いたら「蒸留を楽しむためだよ」って、まさにアーティスト。
この「楽しんで行っている蒸留」がお酒に現れるんだなぁって。
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熟成
熟成はコニャックにおいて重要なプロセスの一つです。
Paul Giraudでは熟成室を4つ持っています。
その4つ全て、湿度が高いのもPaul Giraudの特徴。
湿度が低いと水分の蒸発が早く、湿度が高いとアルコールの蒸発が早い。
だから湿度の高い場所だけを所持しています。
湿度の高さがよくわかってもらえるのは、この水源ではないでしょうか。
水が流れる小さな音が聞こえるのが、なんとも心地よい。
熟成
新樽も30%使用しています。
ただ、この新樽使用は最初の1年から1年半のみ。
色とタンニンをつけることを目的としています。
その後は古い樽を使って熟成していきます。
ブレンド
コニャックはブレンドをするお酒。
収穫されたブドウのビンテージや区画、樽などのブレンドです。
ただ、ここPaul Giraudではビンテージのブレンドを行いません!
これが最大の特徴。
区画や樽のブレンドは行いますが、Paul Giraudのすべてのコニャックはビンテージもの!
ただ、ラベルに記載がないのは、以前の記事コニャックの秘密。どうしてミレジメ/ヴィンテージものが少ないのか。を見てもらえれば判ってもらえるかと思います。
テイスティング
いつ見学しても、たくさんのコニャックを試飲させてくれます。
この日は5種類。
VSOP
8年熟成のコニャック。
香り高く、お花の香りが主体。
白いフルーツの香りも。
まだまだ若いですが、しなやかなコニャックです。
Napoléon
15年熟成。
ブドウ畑に広がるお花の香りがたくさん。
アカシアや、白いお花の香り。
繊細だけれど、丸みを持ったコニャック。
1999
2017年末に瓶詰したので、18年熟成。
熟成セラーは比較的湿度の低いところで行われました。
(それでも湿度は高い)
フルーツやお花の香りはもちろん。
元気なコニャックで、前までのコニャックにはなかった、バニラなどの甘いスパイスの香りが。
XO
25年熟成
最初はアプリコットや桃のような香りでしたが、酸化すればするほどプルーンの香りが!
変化が一番面白かったコニャック。
丸みがあり、フルーティ、複雑で余韻が長い、というグランド・シャンパーニュの特徴がしっかり出ていました。
Très Rare
より男性的で力強いコニャック。
スパイシーで葉巻やブラックチョコによく合いそう。
舌触りがしなやかで、複雑。
オーセンティックバーがよく似合う。
最後、ポールジロー氏について
とっても日本好きなおじいちゃん。笑
知らずに出会うと、農家のおじいちゃん、って感じでとても親しみやすいです。
前にワインショップで働いていた時、日本語訳されたPaul Giraudのプレゼン資料をわざわざ持ってきてくれたのも、忘れられません。
数年後には息子さんに代替わりするそうですが、息子さんも名前がPaul Giraud氏なので、メゾンの名前は変わりません。
ちなみに現当主のお父様もPaul Giraud氏だそうです。
日本でも目にすることのできるコニャックです。
是非皆さん飲んでみてください!
世代交代
他の家族経営の生産者同様、親から子供へとメゾンが引き継がれます。
2年前から息子さんに相続され、現在の当主は写真に写っているPaul Giraud氏の息子さんの、Paul Giraud氏です。
Paul Giraudのメゾンの名を変えないために、代々長男はPaulと名が付けられるので、Giraud家の長男は長男としての責務が凄そう…。
息子さんは大学の先生をしていて、自身の仕事がものすごく好きだそうです!
でも400年の歴史があるGiraud家の歴史を自分の代で閉ざすことはきっと誰にもできないですよね。
公式には当主は息子さんに変わっていますが、現在は親子で半分ずつくらい蒸留しているとのことです。
家族経営生産者あるあるやけど、公式に代替わりしてても、おじいちゃん/おばあちゃんがずっと働いている。笑
コニャックメゾンとしてのPaul Giraudの変化を心配している人もいるかと思いますが、当面の間は変化がなさそうです。
少なくともPaul GiraudはVSOPでも8年熟成なので変化が見れるとしても10年後くらいでしょうか。
変化があるのは心配になりますが、少し楽しみでもある。
いつか息子さん本人にお話を聞きたい…!
参考記事
コニャックの秘密。どうしてミレジメ/ヴィンテージものが少ないのか。
最後に
Paul Giraud、日本でも有名ですよね。
何度訪問しても、いつも丁寧に受け入れてくれる!
日本人とっても好きですし、皆さんが行ったときも絶対いい対応してくれると思います。
感想やこんな内容書いて欲しい!などあればお気軽に連絡ください。 sachiwines@gmail.com その他色々やってるので、良かったら見てください☆ Instagram・sachiko0418 レストランブログ Facebook・Bordeaux-Japon.net ボルドージャポンネット Homepage・Bordeaux-Japon.net ボルドージャポンネット 旧ブログ・Bordeaux-Japon.net ボルドージャポンネット レストランブログ
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