地元でしか見つけられない、ヴァン・ド・ペイ・シャランテとは

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2009年にIGPを取得した、Vins de Pays Charentais(ヴァン・ド・ペイ・シャランテ/シャラントワイン)についてお届けしたいと思います。

ワイン委員会の公式サイトはこちら

ほとんどが地元で消費されていて、近くのボルドーでもVins de Pays Charentais(ヴァン・ド・ペイ・シャランテ/シャラントワイン)を見たことがない。

コニャック生産地域に来たら飲んでいただきたいワインです。

ではいつも通り歴史からどうぞ。

歴史

3世紀末 シャラントにおいてスティルワインの生産跡が見つかっています。
12世紀 イギリス、デンマーク、ノルウェーの貴族の強い需要にこたえるために、ワイン生産を拡大しました。
15世紀 ヨーロッパ近郊の国へ本格的な輸出が開始したのはこの頃。
17世紀 輸送を簡易にするためにワインの蒸留が始まりました。
1875年 10万ヘクタール、400万ヘクトリットル生産
1894年 フィロキセラ後、蒸留用の畑が増え、スティルワイン用ブドウ畑が8000ヘクタールに減りました。
1970年代 コニャック最初の経済危機
1981年3月5日 Benassy(ベナシー)家、Arrivé(アリヴェ)家、Häuselmann(ホーゼルマン)家、Pelletier(ペルティエ)家、Latreuille(ラトルイユ)家、Unicoop(ウニコープ)協同組合、Ré(レ)協同組合、Saint Sornin(サン・ソルナン)協同組合によってVins de Pays Charentais(ヴァン・ド・ペイ・シャランテ/シャラントワイン)振興委員会の設立を正式に決定する政令が立ちました。
1982年 22600ヘクトリットル生産
1986年 50000ヘクトリットル生産
2000年代 数百ヘクタールを植栽
2002年 Henri Jamet(アンリ・ジャメ)会長に就任し、Vins de Pays Charentais(ヴァン・ド・ペイ・シャランテ/シャラントワイン)組合が設立されました。
2004年 Vins de Pays Charentais(ヴァン・ド・ペイ・シャランテ/シャラントワイン)の生産量がピークを迎え、122000ヘクトリットル生産になります。
2009年 Vins de Pays Charentais(ヴァン・ド・ペイ・シャランテ/シャラントワイン)がIGPを取得
2017年 IGP Vins de Pays Charentais(ヴァン・ド・ペイ・シャランテ/シャラントワイン)の生産面積が1500ヘクタールになり、80000ヘクトリットルを迎えます。

土壌

生産地域における土壌をいくつかご紹介します。

グルワ土壌

赤い粘土石灰質の土壌で、とても石が多いグルワ土壌。

この土壌により下層土へ排水されるため、水を探して根は石灰の塊の間をぬって伸びます。

粘土土壌

60%以上粘土で構成されている土壌のことを粘土土壌と言います。

水分の吐きだしがゆっくりなので、難しい土壌と言われています。

しかし、この慢性的な浸水のおかげでフィロキセラの被害を免れたと言われています。

粘土珪酸土壌

表面にほとんど石灰がありません。

有機物が豊富な土壌の深いところでは、ブドウの樹の生命力の管理が難しいです。

砂土壌

フランスの中央高地から運ばれてきた砂です。

貧しい土壌で、通過性の高い土壌ですが、土壌の温度が上がるのも早く、早熟になります。

IGP取得

IGPはIndication Géograghique Protégéeの頭文字をとったものです。

日本語では地理的表示保護ワインと言われています。

コニャック生産地域で生産されるワインがこのIGPを獲得したのは2009年8月1日のこと。

IGPは製品がその産地で生産されている、品質保証です。

収穫量、生産地域などが仕様書によって決められており、それにより品質が保証されています。

今回お話しているVins de Pays Charentais(シャラントワイン)はCharente(シャラント)県とCharente Maritime(シャラント・マリティーム)県で生産されています。

ブドウ品種

コニャック生産地域で生産することが認められているブドウ品種は以前まとめたので、そちらをご覧いただければと思います。

今回はワイン用ブドウについて。

赤ワイン/ロゼワイン用品種

Alicante H Bouschet Noir

Alicante H Bouschet Noir(アリカント・アンリ・ブーシェ)は果肉まで赤い黒ブドウ品種で、ワインに濃い色を与えます。

熟したフルーツやスパイシーさをもち、アルコール度数も高くなるのが特徴。

1886年にGrenache(グルナッシュ)とPetit Bouschet(プティ・ブーシェ)の交配で生まれたと言われています。

Arinarnoa Noir

Arinarnoa N(アリナルノア)は色が濃く、フルーティーなワインを造りだします。

キャラメルやカシス、フルーツのコンポート、スミレを感じることもあります。

ほとんどフランスで生産されていて、Merlot(メルロー)とPetit Verdot(プティ・ヴェルド)から生まれた品種です。

Cabernet Franc

Cabernet Franc N(カベルネ・フラン)は繊細なタンニンと柔らかさをワインに与えます。

さらに熟成向きなワインを造るという特徴もあります。

フランボワーズの香りで知られていて、イチゴやスグリ、スミレの香りも与えます。

ボルドーで最も古いブドウ品種の一つで、ヌーヴェル・アキテーヌ県原産と言われています。

Cabernet Sauvignon Noir

Cabernet Sauvignon(カベルネ・ソーヴィニョン)はワインにフレッシュ感、酸と品質の良いタンニンを与える品種として知られています。

熟成向きな骨格を持つワインを造ります。

黒いフルーツやスミレ、フランボワーズの香り、さらに余韻の長さをワインに与えます。

全世界で栽培されていて、フランスでは成長の遅い品種で収穫時期が遅いことでも知られています。

Cot Noir

Cot N(コット)Malbec(マルベック)と同じ。

フルーティーでタンニンがしっかり、色も濃く、長期熟成に向く品種デス。

カカオやドライフルーツ、スパイスなどの香りを持ち舞うs。

Magdeleine noire des Charentes(マグドレーヌ・ノワール・デ・シャラント)とPrunelard(プルネラール)の交配種で、フランスでは5000ヘクタール程生産されています。

アルゼンチンやチリでも多く生産されている品種。

Egiodola Noir

Egiodola N(エジオドラ)は香り高く、色も濃い品種。

しっかりしていて、タンニンも豊富なワインを造ります。

新酒やロゼワインに多く使われるのが特徴。

1954年にフランスで交配された品種と言われており、フランス、特に南西地方で多く生産されています。

Gamay Noir

Gamay N(ガメイ)はフルーティーさ、特にフランボワーズや木苺、ブラックチェリーが特徴の品種。

紫がかった赤色のワインを造ります。

リヨン原産で、14世紀から存在していた品種と言われています。

フランスの冷涼な地域で多く生産されている品種。

Jurançon Noir

Jurançon Noir N(ジュランソン・ノワール)は色が薄く、アルコール度数も低いワインを造ります。

しばしばロゼ生産に使われ、フルーティで若々しいワインを生産します。

フランスの南西地方でMalbec(マルベック)とFolle Blanche(フォール・ブランシュ)の交配により生まれたと言われています。

Merlot Noir

Merlot Noir N(メルロー・ノワール)は小さい実を持つ品種。

深いガーネット色のワインを造ります。

エレガントなタンニンと、熟したフルーツの香り、赤いフルーツ、トリュフ、プラム、スミレ、スー・ボワやカシスなどの香りが特徴。

Cabernet Franc(カベルネ・フラン)とMagdeleine Noire des Charentes(マグドレーヌ・ノワール・デ・シャラント)の交配により生まれた品種で、ボルドーでは17世紀後期からしか存在していなかったと言われています。

Mourvèdre Noir

Mourvèdre N(ムーヴェードル)Balzac Noir(バルザック・ノワール)としても知られている品種デス。

スパイシーで成熟した黒いフルーツの香りが特徴。

香り高く、酸は少な目、品質の高いタンニンを持つことでも有名です。

スペイン品種で、スペインでは2番目に多く植えられているそう。

16世紀にフランスにやってきて、地中海気候に良く合う品種です。

Négrette Noir

Négrette N(ネグレット)はとても濃いワインを生産します。

酸は少なく香り高い。

スミレやフランボワーズなどの赤いフルーツを良く感じます。

フランス南西地方の品種。

Pinot Noir

Pinot Noir N(ピノ・ノワール)Noirien(ノワリアン)とも呼ばれます。

サクランボの香りが特徴的。

熟成するとプラムや皮、スー・ボワの香りを持ちます。

力強さ、フィネス、香りの複雑さを持つ長期熟成向きのワインを造りだすことが出来ます。

世界中で有名なブルゴーニュ原産の品種。

Tannat Noir

Tannat N(タナ)はワインに酸とフルーティーさ、タンニンと深みを与えます。

たばこやシナモン、エキゾチックな木の香りを持ちます。

Madirant(マディラン)で良く栽培されている品種。

白ワイン用品種

Arriloba Blanc

Arriloba B(アリロバ)は繊細なワインを造ります。

酸は弱く、熟成すると花やフルーツ、蜂蜜などの香りを持ちます。

フランス南西地方で良く栽培されていて、しばしば甘口ワインが造られます。

Chardonnay Blanc

Chardonnay B(シャルドネ)はレモンやグレープフルーツなどの柑橘フルーツ、ドライフルーツ、ブリオッシュなどの香りを持つ白ワインを造ります。

ブルゴーニュの品種で、世界的に良く栽培されている品種です。

Chasan Blanc

Chasan B(シャザン)は香りも酸も弱い白ワインを生産します。

柑橘フルーツ、アーモンド、バター、ドライフルーツ、リンゴやバニラなどの香りを持ちます。

1958年に交配によってつくられたと言われており、冷涼な土壌を好みます。

Chenin Blanc

Chenin B(シュナン)は酸による素晴らしい骨格を持つワインを造ります。

エレガントで、黄色いフルーツ、ドライフルーツ、柑橘フルーツ、白い花、蜂蜜などの香りを持ちます。

長期熟成にも向いている品種。

ロワール川沿岸が減産と言われており、南アフリカに続きフランスが2番目に多く栽培しています。

Colombard Blanc

Colombard B(コロンバール)は力強く、繊細で骨格を持つワインを造ります。

柑橘フルーツ、ツゲ、ライム、白い花、エキゾチックフルーツ、ルバーブや桃などの香りを持ちます。

シャラントにおいては最も古い品種の一つで、Gouais(グエ)とChenin(シュナン)の自然交配によって生まれた品種と言われています。

Folle Blanche

Folle Blanche B(フォール・ブランシュ)はアルコール度数が低く、心地の良い酸を帯びた白ワインを造ります。

料理との相性も良いのがこの品種の特徴。

西フランスが原産と言われており、17世紀からコニャックやアルマニャックなどのオー・ド・ヴィ製造に使われてきました。

フィロキセラの影響を受け、沢山栽培されていたFolle Blanche (フォール・ブランシュ)はUgni Blanc(ウニ・ブラン)に取って代わられ、現在栽培している所は少なくなりました。

Montils Blanc

Montils B(モンティル)はほとんどシャラントで栽培されています。

フィロキセラを生き抜いた、古い品種です。

Muscadelle Blanche

Muscadelle B(ムスカデル)は甘口ワイン生産に良く使われます。

アカシア、スイカズラなどのお花の香りを特徴に持ちます。

ジロンド県やドルドーニュ県で主に生産されています。

Sauvignon Blanc

Sauvignon B(ソーヴィニョン)は生産地域にもよりますが、白いフルーツ、カシスの香りを持ちます。

スパイスや種付きフルーツなどの香りをもつこともあります。

ニュージーランドで成功をおさめた品種で、フランスではロワール地方やヌーヴェル・アキテーヌ地方で栽培されています。

Sauvignon Gris

Sauvignon Gris G(ソーヴィニョン・グリ)Surin du Poitou(スラン・デュ・ポワトゥー)とも呼ばれています。

グレープフルーツやツゲ、焼いたパンや、燻製香を持ち、複雑さを持つワインを造ります。

メンソールやオレンジの香りを持つこともあります。

Sauvignon Gris(ソーヴィニョン・グリ)はジロンド県、シャラント県、シャラント・マリティーム県を含むヌーヴェル・アキテーヌ地方でよく栽培されています。

Sémillon Blanc

Sémillon B(セミヨン)はエキゾチックな香りを持ちます。

パイナップルやミラベルなどのフルーツの香りを持ちます。

ナッツやアカシアの花、蜂蜜などの香りも特徴的です。

フランス南西地方で良く栽培されていて、ボルドーではソーテルヌ生産にも使われています。

Trousseau gris

Trousseau Gris G(トゥルソー・グリ)Chauché Gris(ショーシェ・グリ)とも呼ばれています。

白いフルーツやお花の香りを特徴とします。

フィネスとエレガントさをワインに与えます。

13世紀から18世紀までシャラント県で良く栽培されていましたが、現在ではほとんど栽培されていません。

シャラントワインの仕様書には2014年に追加されました。

Ugni Blanc

Ugni Blanc B(ユニ・ブラン)はかんきつ系フルーツの香りを主に持つ品種です。

イタリア原産の品種で、フランスでは品質の高いオー・ド・ヴィ製造に使われています。

参考記事

コニャックメゾンの全貌!

コニャックのAOCとクリュ、それぞれの特徴

コニャックの原料は?品種は?

コニャックの蒸留について

コニャック、熟成年数についてまとめ。VS/VSOP/XO

コニャックの秘密。どうしてミレジメ/ヴィンテージものが少ないのか。

ピノー・デ・シャラントについて

ピノー・デ・シャラント全生産者リスト

最後に

長々とお疲れ様でした。

あまり目立たないシャラントワインで、生産地以外ではほとんどお目にかかれません。

それこそ品質の高いワインがそれほど多くないのが問題だと思うんですよね…。

とはいえ、おいしいワインを生産する生産者も増えてきたので、今後に期待したいところ!

いろいろな品種を使えるのもこの地域の特徴なので、おいしいワインを見つけたら皆さんと共有したいなと思います。


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