メドックのワイナリーを書いてたので、今回はサンテミリオンのワイナリー、Château Canon la Gaffelière(シャトー・カノン・ラ・ガフリエール)をお送りしたいと思います。
ネイペルグ伯爵所有ワイナリーとしても有名なワイナリーです。
ボルドーにいくつもワイナリーを持ち、本当に外れがない!
値段に関わらず素晴らしいワインを生産するワイナリーです。
歴史
<tr”>17世紀
後にサンテミリオンで最も重要なワイン生産一族となる、de Malet-Roquefort(ド・マレ・ロックフォール)家によって、中世の診療所跡に建てられました。
19世紀 |
当時の所有者Boitard de la Poterie(ボワタール・ド・ラ・ポテリー)氏にちなんで、Gaffelière-Boitard(ガフリエール・ボワタール)やCanon-Boitard(カノ・ボワタール)と言う名でワインが販売され始めます。 |
Boitard de la Poterie(ボワタール・ド・ラ・ポテリー)氏の娘が医師であるLouis Pierre Hisman Peyraud(ルイ・ピエール・イスマン・ペイロー)氏と結婚したことにより、Château Canon-La-Gaffelière(シャトー・カノン・ラ・ガフリエール)はPeyraud(ペイロー)家の所有となります。 |
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Peyraud(ペイロー)家は第二次世界大戦の終わりまでワイナリーを所有し続けます。 |
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1953年 |
フランスのモータースポーツ界で既に有名で、後にサンテミリオンの市長となるPierre Meyrat(ピエール・マイラ)氏がワイナリーを買収しました。 |
1969ねん |
Pierre Meyrat(ピエール・マイラ)氏の死後、ワイナリーが売りに出されます。 |
1971年 |
Stephane von Neipperg(ステファン・ヴォン・ネイペルグ)氏がChâteau Canon la Gaffelière(シャトー・カノン・ラ・ガフリエール)を買収しました。 Neipperg(ネイペルグ)家はドイツで8世紀に渡ってワインを造り続けているので、ワイン造りに関する知識も技術もあります。 |
今現在は
の5つのワイナリーをボルドー右岸に所有しています。 そして、これら5つのワイナリーは同じチームで栽培・醸造をしているので、土壌の違いを楽しめるのも魅力の一つ。 また、ペサック・レオニャンにも
というワイナリーを所有しています。 |
畑について
ここからはChâteau Canon la Gaffelière(シャトー・カノン・ラ・ガフリエール)についてです。
畑は19.5ヘクタール所有。
サンテミリオンのワイナリーは平均7ヘクタールなので、比較的大きなワイナリーです。
このワイナリーはサンテミリオンの丘の足元に畑を持つので、サンテミリオンの特徴でもある石灰土壌が少ないです。
石灰の代わりに、粘土と砂が多いので、サンテミリオンのワイナリーにしてはカベルネ・ソーヴィニョンやカベルネ・フランが多く植えられているのが特徴。
畑は南向きなので、太陽の恩恵を存分に受け、実の成熟も早いです。
ブドウ品種
先ほども言いましたが、他のサンテミリオンのワイナリーに比べるとメルロが少なく、カベルネが多いです。
- 50%メルロ
- 40%カベルネ・フラン
- 10%カベルネ・ソーヴィニョン
サンテミリオンではメルローが80%から90%植えるワイナリーが多い中、50%はかなり少ないです。
カベルネ・フランによって、スパイシーさや骨格を与え、カベルネ・ソーヴィニョンがタンニンを与えてくれます。
平均樹齢は50年くらい。
一番古いものが65年前に植えた木です。
栽培
1990年からオーガニック(Bio)栽培をしています。
2011年に申請をして、2014年に認定を得ました。
さらに2017年からは馬が栽培の手助けをしてくれています。
マッサル・セレクション
このワイナリーの見学をすると、畑の話をたくさんしてくれます。
苗木についてですが、苗木屋さんからクローンの苗木を購入するのが普通です。
ですが、ここではマッサル・セレクションを採用。
フランス語ではSélection massale(セレクション・マッサル)と呼ばれます。
このワイナリーで育った、樹齢が長く質のいい樹から採った枝を、苗木に接ぎ木するという方法。
クローンだとDNAが全く同じ樹が畑にたくさん植えられていることになり、例えば病気になった時など、畑のブドウが一気に被害に遭う危険性があります。
このマッサル・セレクションであれば、同じメルロでもDNAが異なるので、全て同じ病気になる可能性が少なくなります。
また、それぞれ少しずつ性格の異なるブドウができるので、ワインに複雑さを与えてくれるとのこと。
ここ、シャトー・カノン・ラ・ガフリエールでは1940年~1950年に植えられた古木を元にしていて、今現在はメルロだけでも250種の苗木を育てているそう…!
接ぎ木
マッサル・セレクションの続きです。
苗木屋さんから接ぎ木された苗木を買うのが普通。
ですが、ここでは接ぎ木されていないものを購入します。
つまり、アメリカ原種の苗。これはフィロキセラ対策です。
それを2年間育てます。
この間にもブドウができますが、もちろん使用しません。
その後、接ぎ木をしてさらに2~3年。
そしてやっとワインに使えるブドウができるという訳です。
なので、接ぎ木されたものを購入するより、ワイン用のブドウができるまで時間がかかります。
収穫
収穫は100人ほどの収穫者が来て、6週間かけて収穫を行います。
(5つのワイナリー全て合わせて6週間です。)
メルロ、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニョンの順に行いますが、
メルロは平地のメルロを先に、北の畑のメルロを後に収穫します。
醸造
1980年に造られた醸造施設を持ちます。
タンクはコンクリート、ステンレス、木と盛りだくさん。
コンクリートと木のタンクは醸造に使用して、ステンレスとコンクリートタンクはブレンドやストックに使用します。
選果
収穫されたブドウは2回選果を行います。
1度目は房の状態で、その後除梗をして、実だけの状態で2度目の選果。
どちらも、機械を使わずに人の目と手で行います。
低温の醸し
最近、発酵前の醸しを行うところが増えてきました。
タンク内にドライアイスを入れて、3日~4日間、タンク内を5度~10度に保ちます。
(参考;最近のボルドーワインについて)
アルコール発酵
ドライアイスを入れるのをやめると、自然に温度が上がっていきます。
26~28度下でアルコール発酵が行われます。
その間の攪拌作業はルモンタージュとピジャージュ。
(参考;ワイン醸造:アルコール発酵について。)
熟成
樽は新樽と1度ワインを熟成した樽を使用しています。
- 60%新樽
- 40%1度ワインを熟成した樽
というパーセンテージ。
熟成期間は16か月から18か月です。
そして、225リットルの樽と共に、400リットルのものも使っています。
この400リットルの樽は、香り高いメルロに使用し、ブドウ本来のフルーティーさを尊重しています。
まとめ
ブドウ品種 |
50%メルロ 40%カベルネ・フラン 10%カベルネ・ソーヴィニョン |
タンク |
コンクリート、木製 |
熟成期間 |
16~18か月 |
新樽使用率 |
60% |
試飲
今回は試飲の話も少しだけ。
最初にも説明しましたが、ボルドー右岸にある持つワイナリーのものを一緒に飲めます。
栽培・生産は同じチームでやっているので、土壌の違いから出るワインの違いをしっかり説明してくれます。
ワイナリー情報
Château Canon la Gaffelière(シャトー・カノン・ラ・ガフリエール)
住所;BP34, 33330 Saint-Émilion
電話;+33 5 57 24 71 33
参考記事
最後に
今回は、畑の話を少し多めにかきました。
というのも、見学するとかなり詳しく畑の話をしてくれます。
できるだけ、見学時にボリューミーに話してくれることを多く書こうと思っています!
このワイナリーについて知りたい、などあれば気軽にご連絡ください。
感想やこんな内容書いて欲しい!などあればお気軽に連絡ください。 sachiwines@gmail.com その他色々やってるので、良かったら見てください☆ InstagramやTwitter レストランブログ Facebook・Bordeaux-Japon.net ボルドージャポンネット Homepage・SachiWines 旧ブログ・Bordeaux-Japon.net ボルドージャポンネット レストランブログ
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