美しい酸を持つソーテルヌ、シャトー・ダルシュ

左岸

去年の後半、ソーテルヌ格付け委員会が開催した格付けワイナリーのソーテルヌ試飲会にいってきました。

その時、一番気になったワイナリーChâteau d’Archeシャトー・ダルシュに行ってきました!

個人的にソーテルヌは酸がとても大切だと思っていて、その酸がとても美しかったのが印象的。

日本にも既に入っているようなので、気になる方は飲んでみてください。

歴史

1611年

騎士であり、d’Archeダルシュの領主であったBernard d’Archeベルナール・ダルシュの長男で、8代目のEtienne d’Archeエティエンヌ・ダルシュが一族の中でボルドーに定住することを決めました。

ボルドー大学で医師Guyenneギュイエンヌ議会で弁護士を務めた彼は、一族で初めてワイナリーを購入し、ワイン事業に着手しました。

1733年 Etienne d’Archeエティエンヌ・ダルシュのひ孫で、国王の参事官だったFrançois d’Archeフランソワ・ダルシュBraneyreブラネールの畑を相続し、慣習に従って自身の名を付けました。
1753年 François d’Archeフランソワ・ダルシュは様々なワイナリーの経営を行ったが、Château d’Archeシャトー・ダルシュに住んでいました。
1789年 フランス革命によってChâteau d’Archeシャトー・ダルシュは国有財産となり、その後いくつかの家族に分割されました。
1855年

Château d’Archeシャトー・ダルシュLafaurieラフォリー氏とその会社の所有で、ソーテルヌで最も有名なワイナリーの一つとなっており、格付けの2級に選ばれました。

1935年 1934年~1971年までソーテルヌの市長であったArmand Bastit-Saint-Martinアルマン・バスティ=サン=マルタンが義父から相続し、Château d’Archeシャトー・ダルシュの当主となり、分割されたワイナリーの統合を始めました。
1996年 Château d’Archeシャトー・ダルシュは買収され、環境と歴史を尊重しながら、素晴らしいブドウ畑を造るために作業が継続されました。
2002年 ソーテルヌにおけるワインツーリズムの先駆者として、Château d’Archeシャトー・ダルシュのホテルがオープンしました。
2019年 ソーテルヌに環境に配慮した新しい醸造セラーを建築しました。

生産ワイン

甘口ワイン、ソーテルヌにとどまらず白ワインやロゼワイン、スパークリングワイン等生産しています。

ワイン名につなげているリンクは公式ホームページの該当ページです。

Château d’Archeシャトー・ダルシュ

ワイナリーの名を冠した、いわゆるファーストワインです。

30ヘクタールソーテルヌ用の畑を所有しており、平均樹齢は45年程度。

土壌は80%グラーヴ、20%が粘土石灰土壌とのこと。

Arche Lafaurieアルシュ・ラフォリー

2ヘクタールのみ畑を所有している、特別キュヴェです。

土壌は先ほどと同じ80%グラーヴ、20%が粘土石灰土壌ですが、平均樹齢は40年程度です。

Perle d’Archeペルル・ダルシュ

これはセカンドワイン。

70ヘクタールもの広大な区画から生産されています。

Château Padouenシャトー・パドゥエン

同じソーテルヌですが、9ヘクタール所有している別ワイナリーです。

平均樹齢は45年。

土壌は同じく80%グラーヴ、20%が粘土石灰土壌です。

《A》 Château d’Arche Blancアー・シャトー・ダルシュ・ブラン

ボルドー・ブランとして販売されている辛口の白ワインです。

20ヘクタールのブドウ畑から採れたブドウを使用しており、平均樹齢は40年程度。

ソーテルヌのワイナリーらしくセミヨン主体でソーヴィニョン・ブランがブレンドされています。

醸造はステンレスタンクと樽内で。

熟成は6か月、澱とともに(シュール・リ)タンク内と樽内で行います。

《A》 Château d’Arche Roséアー・シャトー・ダルシュ・ロゼ

ボルドー・ロゼとして販売されているロゼワインです。

ロゼワイン生産用の畑は1ヘクタールのみ。

平均樹齢も20年と他のワインに比べると若いです。

品種はカベルネ・ソーヴィニョンとメルロ。

ステンレスタンクと樽内で醸造され、4か月間ステンレスタンクと樽内で熟成されます。

熟成で使われる樽はソーテルヌ熟成に使ったものを再利用しています。

Arche Perléeアルシュ・ペルレ

さらに泡、スパークリングワインも生産しています。

シャンパーニュと同じ方式での製造。

50ヘクタールの畑の中から、このワインを造るためのブドウが選ばれます。

平均樹齢は45年。

セミヨンとソーヴィニョン・ブランが使用されていて、最大の特徴はドザージュ(加糖)にソーテルヌを使用している事!

瓶内で9か月熟成されます。

ブドウ畑

ボルドーから30km南に位置しており、複雑な土壌の上にブドウ畑が栽培されています。

グラーヴと呼ばれる粘土泥土などをもつ畑を所有しています。

標高70mと、ボルドーではかなり所に位置していて、風遠しの良い畑です。

環境配慮もかなりしており、HVE3取得、オーガニック認証も2024年には取得できるとのこと。

現在、50ヘクタールがソーテルヌ(甘口白ワイン)生産用、12ヘクタールが黒ブドウ、少し辛口の白ワイン用の畑を所有しています。

ブドウ品種

様々な品種を栽培しています。

というのも、上に書いたように様々なワインを生産しているから。

白ブドウはセミヨン、ソーヴィニョン・ブラン、ムスカデル

黒ブドウはメルロー、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニョン、少しだけプティ・ヴェルド

が栽培されています。

収穫と選果

収穫はもちろん手摘み。

以前貴腐ワイン、ソーテルヌの造り方でも書いたけど、ソーテルヌの収穫は手摘みでないと美味しいワインができないので、機械化は不可能です。

収穫されたブドウはすぐに圧搾され、果汁のみを使います。

醸造施設

全てステンレスタンクです。

30基程度所有していて、大きいものでも40へクトリットル。

小さい20へクトリットルのものはソーテルヌ生産用に使用されます。

辛口白ワイン

白ワインの半分は樽で醸造、半分はタンクで醸造されます。

樽は300ℓで、澱共に醸造されるとのこと。

赤ワイン

ステンレスタンク内で醸造(アルコール発酵)を行います。

その後のマロラクティック発酵は10%を樽、90%をタンクで行います。

熟成

基本的には従来のオーク樽を使用しています。

が、格付けに選ばれているソーテルヌ(つまりファーストワイン)のみ以下の様な樽を5つ使用しています。

また、実験段階ですがWine Globe(ワイン・グローブ)というガラスの容器も使用しています。

これは実験用なので、今後何かしらの形で製品になるかどうかはまだ分かりません。

まとめ

ブドウ品種

白ブドウはセミヨン、ソーヴィニョン・ブラン、ムスカデル

黒ブドウはメルロー、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニョン、少しだけプティ・ヴェルド

タンク ステンレスタンク

ワイナリー情報

Château d’Archeシャトー・ダルシュ

住所;Château d’Arche, 33210 Sauternes

電話;+33 5 56 76 76 30

参考記事

AOCグラーヴについて

ワイナリーSNSまとめ、グラーヴ編

赤白どちらも生産する、AOCペサック・レオニャン

AOCソーテルヌについて

貴腐ワイン、ソーテルヌの造り方

ソーテルヌ/バルサック全ワイナリーSNSまとめ

グラーヴ、ソーテルヌ・バルサックの格付けまとめ

【ワインニュース】グラーヴ大使10ワイナリーが決定

ボルドーから公共交通機関を使って行けるワイナリー

最後に

2022年、特に気に入ったソーテルヌのワイナリーの一つです。

この日は1日で4件ソーテルヌのワイナリーを訪問して、それぞれの生産者の特徴が際立った日でした。

いろいろなワインを生産しているし、ショップも充実しているので、ソーテルヌに行ったときには訪問してほしいワイナリーの一つです。

日本にも入っているようなので、是非飲んでみてください!


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