ワイナリー特集シリーズ、今回はChâteau Lascombes(シャトー・ラスコンブ)です。
今まで書いた特集記事は1855年メドック格付けまとめにまとめているので、もしよければご覧ください。
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歴史
1625年 |
Chevalier Antoine de Lascombes(シュバリエ・アントワーヌ・ド・ラスコンブ)が自らの名前をワイナリーにつけることでワイナリーの歴史が始まりました。 Chevalier(シュバリエ)は騎士。 ここから現在のセカンドワインChevalier de Lascombes(シュヴァリエ・ド・ラスコンブ)の名前が付けられました。 当時はDurfort(デュフォール)伯爵家の所有地と一体化していました。 この頃、Durfort(デュフォール)伯爵家は2級に選ばれているChâteau Durfort-Vivens(シャトー・デュフォール・ヴィヴァン)を含むいくつかのワイナリーを所有していました。 |
1700~1750年 |
Durfort(デュフォール)伯爵家と分裂した後、Jean-François de Lascombes(ジャン・フランソワ・ド・ラスコンブ)とAnne de Lascombes(アンヌ・ド・ラスコンブ)の所有になりました。 |
ボルドー議会の顧問でもあったJean-François de Lascombes de Chaumon(ジャン・フランソワ・ド・ラスコンブ・ド・ショーモン)によって、ワインの品質が上がりました。 |
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1780年頃 |
シャトーの建設が始まりました。 Jean-François de Lascombes de Chaumon(ジャン・フランソワ・ド・ラスコンブ・ド・ショーモン)の死後、フランス革命の少し前、兄妹のMarie(マリー)がワイナリーを売却しました。 購入したのはスコットランド出身のNathaniel Johnston(ナタニエル・ジョンストン)。 そして彼はすぐにFabre(ファーブル)に売却しました。 |
1820年初頭 |
Loraigue(ロライグ)氏がワイナリーを買収しました。 |
1844年 |
Loraigue(ロライグ)氏の相続人がBlagny Hüé(ブラグニー・ヒューエ)伯爵、Léonor Antoine(レオノール・アントワーヌ)の娘の一人に90000フランでワイナリーを売却しました。 |
1855年 |
メドック格付けで2級に選ばれました。 |
1867年 |
パリの弁護士会会長であるGustave Louis Chaix d’Est-Ange(グスタヴ・ルイ・シェワ・デストアンジュ)にワイナリーが売却されました。 |
1875年 |
建築家Louis Garros(ルイ・ガロス)によって新しいシャトーが建築されました。 |
1887年 | 当時は13haの敷地面積でした。 |
系図学者で、Gustave Louis Chaix d’Est-Ange(グスタヴ・ルイ・シェワ・デストアンジュ)の孫がワイナリーを引き継ぎ、Château Marquis d’Alesme Becker(シャトー・マルキ・ダレスム・ベッカー)を取得しました。 この2つのワイナリーを合併しようとしましたが、1923年に亡くなったためにこの計画は実現しませんでした。 |
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養子であるEmmanuel du Bourg de Bozas(エマニュエル・デュ・ブール・ド・ボザス)伯爵は、Château Marquis d’Alesme Becker(シャトー・マルキ・ダレスム・ベッカー)をスコットランド、グラスゴーのW. H. Chaplin & Co Ltd社に売却しました。 | |
1952年 | 株はAlexis Lichine(アレクシ・リシーヌ)に売却されました。 |
1952~1971年 | 既にネゴシアンLichine & Cie社を持つ、英国のBass-Charringtonグループに売却されました。 |
2001年4月 | アメリカのColony Capitalグループとその投資家がChâteau Lascombes(シャトー・ラスコンブ)の所有者になりました。 |
2011年 | フランスの保険会社Mutuelle d’assurances du corps de santé français(MACSF)がオーナーとなります。 |
ブドウ畑
AOCマルゴーの5つの村に120ヘクタールの畑を持っています。
ブドウ品種は
- 50%メルロ
- 45%カベルネ・ソーヴィニョン
- 5%プティ・ヴェルド
昔は、粘土土壌の上にカベルネ・ソーヴィニョンを栽培していて、それをメルロに植え替えを行ったため、50%もメルロを持っています。
平均樹齢は35年程度。一番古いものが60年程度です。
ちなみにですが、AOCオーメドックにも10ヘクタールの畑を所有しています。
収穫
9月から10月にかけて、150人程度で行います。
ブドウを10㎏入れられるかごにブドウを入れていきます。
大きなものを使うと、ブドウがブドウを潰してしまうので、このサイズに落ち着いたそう。
選果して、除梗して、光学選果機を使って、ブドウの実だけを醸造します。
醸造設備
2001年に新しくできた醸造施設は4階建てです。
下からステンレスタンク、コンクリートタンク、ステンレスタンク+木のタンク、があり、最上階は作業しやすいように足場がしっかりあります。
発酵
アルコール発酵は基本、ステンレスタンクと木のタンクを使います。
ブドウをタンクに入れたら、2001年~低温の醸しを10日ほど行っています。
発酵中は、1日に2回ルモンタージュを。
- 攪拌作業については、ワイン醸造:アルコール発酵について。をご覧ください
タンクから樽にワインを入れて、マロラクティック発酵を。
ボルドーの基本的な醸造方法です。
新しい醸造施設
2022年頭に新しい醸造施設だけ訪問してきました!
基本的な醸造作業は変わらずとのことですが、以前よりタンクの数が増えたので、区画毎の醸造が可能になりました。
ステンレスのタンクが44基。2021年ビンテージからここで醸造されています。
以前と同じ様に低温での醸しを行ってから醸造を行います。
タンクの上はこんな感じ。
足場もしっかりで、何よりも自然光の入り方が以前と違う!!!
見学用のおしゃれライトしかついてなかったけど、めっちゃ明るかった!
晴れやかな気分になる醸造施設でした。
ちなみに以前使っていたタンクはオー・メドックのワイン製造に使うこともあるそうです。
熟成
まずは6か月間、区画ごと、品種ごとに熟成を行います。
この間は、澱と共に熟成をするそう。
なので、1週間に2度バトナージュを行っています。
その後ブレンド(+澱引き)をして、さらに熟成。
樽は7~8社の樽を使用していて、焼き加減はミディアムかミディアムプラス。
熟成期間
- ファーストワインが18か月から20か月熟成
- セカンドワインが16か月熟成
まとめ
ブドウ品種 |
50%メルロ 45%カベルネ・ソーヴィニョン 5%プティ・ヴェルド |
タンク | ステンレス、コンクリート、木製 |
マロラクティック発酵 | 樽内 |
熟成期間 | 18~20か月 |
ワイナリー情報
電話;+33 5 57 88 70 66
住所;1 Cours de Verdun, 33460 Margaux-Cantenac
参考記事
最後に
今回は比較的さらっとした記事になりました。
熟成の最初に全く澱引きをしないっていうのは、ボルドーワインでは珍しい。
そして、赤ワインにバトナージュをするのも珍しい。
良いところに畑も持つワイナリー。
一般の方も見学できるので、是非どうぞ。
そしてやはり出来立て醸造室は美しくてテンションあがります!
熟成セラーは以前と変わらず美しいし、映える。
是非是非!
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[…] (参考記事;マルゴー地方、Château Lascombes) […]