ピノー・デ・シャラントについて

その他のお酒

最近はコニャック生産地域の話題が多いですね。

ワインの話も書きますが、やっぱりコニャック在住民としては書きたいと思ってしまう。

ということで、今回はPineau des Charentes(ピノ・デ・シャラント/ピノー・デ・シャラント)について。

コニャックでは主に食前酒に飲まれていますが、カクテルにしてもおいしい。

歴史

3世紀 Saintes(サント)界隈には既にブドウ畑があったと言われています。
  Saintes(サント)界隈で始まったブドウ畑は、Aunis(オーニ)やAngoumois(アングーモワ)に広がり、Charente(シャラント)県やCharente-Maritime(シャラント・マリティーム)県全体に広がりました。
 

Pineau des Charentes(ピノー・デ・シャラント)の正確な歴史は不明ですが、間違いによって生まれたと言われています。

とある生産者が、コニャックの入った樽に間違えてブドウ果汁を入れてしまい、数年後に発見した時には澄んだ美しいお酒が出来上がっていたと言われています。

 

Pineau des Charentes(ピノー・デ・シャラント)の歴史はコニャックの歴史を共有しています。

生産者は同じ伝統、ノウハウを尊重し、唯一で品質の高いこのワインリキュールの生産を行っています。

最初は、結婚式や家族のイベント等家族内での消費に限られていました。

それが地域全体の消費に広がり、国が認めるアルコールとなりました。

1920年 ワイン産業が組織化されます。
1935年 Appellation d’Origine(アペラシオン・ドリジン|原産地呼称)を持つワインリキュールとなります。
1945年10月12日

Pineau des Charentes(ピノー・デ・シャラント)がAppellation d’Origine Contrôlée(アペラシオン・ドリジーン・コントローレ|原産地呼称認証)を得ました。

ワインリキュールがAppellation d’Origine Contrôlée(AOC|アペラシオン・ドリジーン・コントローレ|原産地呼称認証)の認証を得たのはこれが初めてでした。

日本では

今回はPineau des Charentes(ピノー・デ・シャラント)公式サイトの情報を見ています。

そこではVin de liqueur(ヴァン・ド・リキュール|ワインリキュール)と書かれています。

が、日本では酒精強化ワインの一種と書いた方が分かりやすいかな。

後に書きますが、Pineau des Charentes(ピノー・デ・シャラント)はコニャックにブドウ果汁を混ぜて熟成したものです。

このブドウ果汁は、発酵していない要は絞ったブドウジュースです。

他にはFloc de Gascogne(フロック・ド・ガスコーニュ)はアルマニャックとぶどうジュースを混ぜたもので同じくくりに入ります。

AOC

Pineau des Charentes(ピノー・デ・シャラント)を生産してもいい地域はコニャックと一緒です。

Charente-Maritime(シャラント・マリティーム)県、Charente(シャラント)県が主ですが、Dordogne(ドルドーニュ)とDeux-Sèvres(ドゥー・セヴル)のいくつかのコミューンでも造ることが出来ます。

大西洋沿岸地域と、山の近くが生産地として認められている珍しいお酒です。

夏は暑く、太陽が降り注ぎ、冬の温度は穏やかで雨が多いこの地域は、ブドウの生産に適しています。

テロワール

先ほども書きましたが、海と山の間にある珍しい産地です。

気候

Charantes(シャラント)地方の海洋性気候日照時間の長さによって、コニャックとブドウ果汁に個性を与えます。

冬は温暖で湿度が高く、年間の降水量が800~1000mm、130~150日と雨の多い場所です。

夏の暑さと、湿度の高い海の空気で、Pineau des Charentes(ピノー・デ・シャラント)にとって理想的なブドウの栽培を可能にしています。

土壌

このエリアは全体的に堆積層で構成されています。

その影響もあり、丘と平原が連続している特徴的な場所です。

土壌は地域全体に粘土石灰土壌が多く、Ile de Ré(レ島)とIle d’Oléron(オレロン島)を含む沿岸部では砂礫土壌を持ちます。

この多様な土壌により、特徴の異なるPineau des Charentes(ピノー・デ・シャラント)の生産を可能にしています。

ブドウ

ほとんどがUgni Blanc(ユニ・ブラン|ウニ・ブラン)で生産されていますが、Colombard(コロンバール)、Sémillon(セミヨン)、Sauvignon(ソーヴィニョン)、Montils(モンティス)、Merlot noir(メルロー・ノワール)、Merlot blanc(メルロー・ブラン)、Cabernet sauvignon(カベルネ・ソーヴィニョン)やCabernet franc(カベルネ・フラン)、Jurançon blanc(ジュランソン・ブラン)、Folle blanche(フォール・ブランシュ)なども使われます。

さらに、Pineau des Charentes(ピノー・デ・シャラント)ロゼや赤はMerlot noir(メルロー・ノワール)、Cabernet sauvignon(カベルネ・ソーヴィニョン)やCabernet franc(カベルネ・フラン)、Malbec(マルベック)などが使用されています。

以前、コニャック生産地域で栽培が認められている品種をまとめたので、そちらをご覧いただければと思います。

造り方

ワインリキュール、Pineau des Charentes(ピノー・デ・シャラント)は前年より前に蒸留されたコニャックのオー・ド・ヴィとブドウ果汁で造られます

Appellation d’Origine Contrôlée(AOC|アペラシオン・ドリジーン・コントローレ|原産地呼称認証)を得るためには、同じブドウ栽培者によって栽培されたコニャックのオー・ド・ヴィとブドウ果汁を混ぜる必要があります。

Pineau des Charentes(ピノー・デ・シャラント)は4世紀以上にわたって、伝統的な造りを守ってきました。

以下5段階に分けてお届けします。

収穫

生産が認められている地域で栽培されたブドウは9月末頃に収穫されます。

収穫は約1か月程度。

昔はもちろん手摘みでしたが、現在は機械収穫をしている所がほとんど。

圧搾

収穫後、ブドウを絞ることでブドウ果汁ができます。

但し、最終的な製品の色(赤、白、ロゼ)によって少しだけ作業が異なります。

(もちろん、それぞれの色によって認められている品種しか使えません)

白Pineau des Charentes(ピノー・デ・シャラント)用のブドウは収穫後すぐに圧搾を。

ロゼや赤Pineau des Charentes(ピノー・デ・シャラント)用の黒/灰色ブドウは数時間醸し(マセラシオン、つまり皮と種と共に果汁を寝かすこと)を行うことで美しい色を得ます。

発酵停止

ムタージュ、Mutage、発酵停止作業です。

ブドウ果汁を放置しておくとワインに変化してしまうので、コニャックのオー・ド・ヴィをブレンドします。

コニャックのオー・ド・ヴィは最低1年熟成されたもので、アルコール度数が60%以上でなければいけません。

コニャックのオー・ド・ヴィと毎回書いていますが、「コニャック」用に蒸留はされているものの、コニャックと呼べるまでの熟成を経ていないものを含むからです。

熟成必須なので、ほとんどの製品が最終的にはコニャック×ブドウ果汁と言っても問題ないです。

熟成

ブレンドの後、Pineau des Charentes(ピノー・デ・シャラント)には熟成が必須です。

熟成はコニャックと同様にオーク樽である必要があります。

白Pineau des Charentes(ピノー・デ・シャラント)は最低18か月熟成、内最低12か月は樽内熟成が必須。

ロゼPineau des Charentes(ピノー・デ・シャラント)は最低8か月熟成で、内最低6か月は樽内熟成が必須。

赤Pineau des Charentes(ピノー・デ・シャラント)は最低12か月熟成で、内最低8か月は樽内熟成が必須。

さらに熟成を重ねたVieux Pineau des Charentes(ヴュー・ピノー・デ・シャラント)やTrès Vieux Pineau des Charentes(トレ・ヴュー・ピノー・デ・シャラント)があります。

Vieux(ヴュー)は「古い」という意味を持ち、Très Vieux(トレ・ヴュー)は「とても古い」という意味。

その名の通り熟成年数も長くなり、Vieux Pineau des Charentes(ヴュー・ピノー・デ・シャラント)が最低7年樽内熟成Très Vieux Pineau des Charentes(トレ・ヴュー・ピノー・デ・シャラント)が最低12年樽内熟成です。

瓶詰め

瓶詰めもPineau des Charentes(ピノー・デ・シャラント)の生産地として認められている場所で行う必要があります。

参考記事

コニャックメゾンの全貌!

コニャックのAOCとクリュ、それぞれの特徴

コニャックの原料は?品種は?

コニャックの蒸留について

コニャック、熟成年数についてまとめ。VS/VSOP/XO

コニャックの秘密。どうしてミレジメ/ヴィンテージものが少ないのか。

最後に

初めてのPineau des Charentes(ピノ・デ・シャラント)の記事、いかがでしたか。

ブドウ果汁を混ぜてひるのでしっかり甘味もあり、アルコール度数も18度前後のものが多いのでしっかり。

個人的には白の熟成したものが好みです。

今までは甘味を全面に押し出したピノー・デ・シャラントが多かったですが、ここ数年はしっかり酸とのバランスが取れているものも増えてきました。

個人的に甘味全面押し出し系はあまり得意ではないので、嬉しい。

コニャックメゾンも若手に世代交代していて、少しずつ変化しています。

今後の変化も楽しみです!


感想やこんな内容書いて欲しい!などあればお気軽に連絡ください。
sachiwines@gmail.com

その他色々やってるので、良かったら見てください
Instagram
Twitter
レストランブログ
Facebook|Bordeaux-Japon.net ボルドージャポンネット 
Homepage|SachiWines 
旧ブログ|レスト行うことで
広告

コメント

error: 申し訳ないですが右クリック禁止にしました。データが欲しい方は直接連絡ください。
タイトルとURLをコピーしました