サントリー所有のワイナリーといえばシャトー・ラグランジュですよね。
でもこのChâteau Beychevelle(シャトー・ベイシュベル)もサントリーが半分所有しています。
ということで、前回のシャトー・ラグランジュに続きベイシュヴェルのご紹介です!
シャトーラグランジュについてはこちらをどうぞ。
歴史のながーいながーいワイナリー。
歴史
見学すると、昔醸造タンクがあった場所で短い映像を見ることができます。
15世紀から現在に至るまでの歴史の説明をしてくれます。
オーナーがたくさん変わったりと、すべてを理解するのが大変そうなので、久しぶりに年表にしようかな。
歴史年表
1446年 |
de Foix-Candale(ド・フォア・カンダル)家が狩猟のために地主となります この頃はまだブドウ畑はありません |
1565年 |
François de Foix-Candale(フランソワ・ド・フォア・カンダル)司教が別荘として今の城が建設されます |
1594年 |
娘の夫であるJean Louis Nogaret(ジャン・ルイ・ノガレット)が当主となります 彼は公爵であり提督でした お城から川を、川からお城を見ることができるので彼への忠誠を示すために、お城の前を通る船は全て帆をおろしていました この帆をおろすという意味である「Bêcha vêla(ヴェシャ・ヴェラ)」というガスコーニュ語が変わりBeychevelle(ヴェイシュヴェル)となりました さらに、セカンドワインのAmiral(提督)というのは彼から来ています |
1642年 |
3番目の息子であるBernard(ベルナール)が当主になります 彼はワインの生産に力を入れていました この時代の所有面積はなんと920ヘクタール! 代わりにたくさん借金も作ってしまいました |
1665年 |
彼の死後、甥であるHenri(ヘンリー)が当主に 借金返済のために土地の売却を行いました そのおかげで借金はなくなりましたが、ブドウ畑は80ヘクタールと小さくなりました |
1701年 |
Jean Pierre(ジャン・ピエール)が当主に 彼はワイン造りよりもアートに興味がある方でした つまり…美しいお庭づくりに力をいれました |
1717年 |
甥であるEtienne François(エティエンヌ・フランソワ)が当主に 彼は農業、つまりワイン造りに力を入れます そしてベイシュヴェルの港をつくったのも彼 当時樽でワインの販売をしていたので、品質のため、経営のために良いという判断でした |
1740年 |
兄弟の一人であるFrançois(フランソワ)が後を継ぎます この時にワイナリーの中庭に現在も植えられている西洋杉が植えられました 樹齢300年にもなるこの木はワイナリーの象徴でもあります |
1787年 |
子供がいなかったので、妹であるCatheline-Delephine(カトリーヌ・デルフィーヌ)が当主に そしてこの後すぐにフランス革命に |
1792年 |
フランス革命の最中、娘のCatheline(カトリーヌ)が後を継ぎます 彼女のおかげで現在もある美しいお城を守ることができました |
1825年 |
Pierre François Gestier(ジャン・フランソワ・ギェスティエ)氏とその妻であるAnna(アンナ)がワイナリーを買収します このGestier(ギェスティエ)家はボルドーのネゴシアン一族で、もちろんワインの販売に長けた一族です この時にブドウ畑、ワイン、経営に力を入れたために、値段も品質も上がり、さらにワイナリーがより有名になりました |
1855年 |
皆さんご存知、メドック格付け4級に選ばれました |
1875年 |
子供がたくさんいたGestier(ギェスティエ)家 みんなに資産を分割するのが難しかったので、ワイナリーを売りに出します そこで購入したのがドイツのバンカーであるHeine(エイヌ)夫妻 ここで注目したいのが妻のMarie Amelie(マリー・アメリー)氏です 彼女のために夫がお城の北側、チャペルなどを建設します そして彼女は彫刻を置くなど景観を大切にします |
1890年 |
Heine(エイヌ)夫妻がワイナリーの経営をしていたのは15年だけでした 娘の夫であるCharles Achille-Fould(シャール・アシル・フゥルド)が当主となります Achille-Fould(アシル・フゥルド)家はこの後3世代にわたり、1世紀もの間ワイナリーの経営をします 彼もHeine(エイヌ)夫妻同様、フランスのバンカーでした 醸造施設やブドウ畑など、ワインの品質向上に力を入れ、さらに品質が向上しました |
1926年 |
第一次世界大戦や、フィロキセラの影響を受けながら、息子のArmand Achille-Fould(アルマンド・アシル・フゥルド)氏が後を継ぎます 彼は真摯にワインに向き合い、品質向上を行いました |
1955年 |
この頃からワインのコンサルティングをするEmilie Plainou(エミリー・プレノー)氏と共にワインづくりを行います ブドウ畑の区画分けをより詳しく行い、さらに品質が向上します |
1970年 |
息子の政治家であるAymar Achille-Fould(アイマール・アシル・フゥルド)氏が当主に |
1974年 |
セカンドワインが誕生します 名前はAmiral de Beychevelle(アミラル・ド・ベイュヴェル) 公爵であり提督であったJean Louis Nogaret(ジャン・ルイ・ノガレット)氏からBeychevelle(ベイシュヴェル)という名前が生まれたので、「提督」という「Amiral(アミラル)」という名を付けられました |
1989年 |
GMF(保険会社)とサントリーの2つの会社経営となります この2つの会社によって、ワインはもちろん文化にも力を入れます |
2011年 |
GMFが撤退し、Castel(カステル)とサントリーの合弁会社Grands Millésimes de France(グラン・ミレジム・ド・フランス)の経営に ブドウ畑の区画を小さくしたことで小さなタンクが必要となったので、新しい醸造施設の建設を始めます |
2016年 |
新しい醸造施設の完成 |
ブドウ畑
ブドウ畑は93ヘクタール所有しています。
内80ヘクタールがアペラシオン・サンジュリアンに、13ヘクタールをアペラシオン・オーメドックに所有しています。
今回お話するのは、80ヘクタールあるシャトー・ベイシュベルのワインを生産する畑についてです。
今現在、30ヘクタールがオーガニック栽培ですが、将来的には畑全体をオーガニック栽培にするかも、とのことです。
ジロンド川から950mとかなり近いところに畑を持つので、湿度が高く、オーガニック栽培が簡単な場所ではありません。
状況を見て、ということでしょうか。
ブドウ品種
- 56%カベルネ・ソーヴィニョン
- 40%メルロ
- 3%プティ・ヴェルド
- 1%カベルネ・フラン
平均樹齢は35年くらいなので、ボルドーの平均的な樹齢ですね。
収穫から醸造まで
収穫は手摘み。
150人程度の収穫者と3週間かけて行われます。
収穫されたブドウは、手動で選果、除梗、レーザー選果機、フロワーを通ってタンクの中に入れられます。
タンク上部にブドウを持って行ってから、タンクにブドウを入れるので、ポンプを使わず、重力だけでブドウを入れていきます。
醸造施設
年表にも書きましたが2016年に完成しました。
ここでのワイン醸造は2016年ビンテージから始まっております。
59基のステンレスタンクで、大きさは4種、形は2種持ちます。
発酵
タンクにブドウが入ったら、低温での醸しを1週間行います。
その後、アルコール発酵を。
アルコール発酵中に行う攪拌作業は、ルモンタージュとピジャージュ、そして少しだけデレスタージュを行います。
撹拌作業についてはこちらをご覧ください。
そして、マロラクティック発酵をタンク内で開始。
マロラクティック発酵途中でワインをタンクから樽へ移動させます。
熟成施設
ボルドーでは1年目の熟成室と2年目の熟成室を持つワイナリーが多いですが、ベイシュヴェルは奇数年の熟成室と偶数年の熟成室を所有しています。
温度と湿度がしっかり管理されているので、一定状況下で熟成されます。
熟成期間と新樽
ファーストワインは18か月熟成、新樽使用率が60%
セカンドワインは12か月熟成、新樽使用率が30%です。
まとめ
ブドウ品種 |
56%カベルネ・ソーヴィニョン 40%メルロ 3%プティ・ヴェルド 1%カベルネ・フラン |
タンク |
ステンレスタンク |
マロラクティック発酵 |
ステンレスタンク内で始まり、樽内で終わる |
熟成期間 |
18か月 |
新樽使用率 |
60% |
参考記事
ワイナリー情報
Châtetau Beychevelle(シャトー・ベイシュヴェル)
住所;Château Beychevelle, 33250 Saint-Julien-Beychevelle
電話;+33 5 56 73 20 70
メール;beychevelle@beychevelle.com
最後に
今回、結構長い歴史とともにお送りしました。
サントリーのワイナリーといえばシャトー・ラグランジュが有名ですが、シャトー・ベイシュベルも素晴らしいワイナリーです。
見学は一般の方も受け入れているし、歴史部分は見学するととても分かりやすく説明してくれます。
おすすめワイナリーの一つ!
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