スーパーセカンドとしても有名なChâteau Pichon Baron(シャトー・ピション・バロン)についてお届けします。
このワイナリー、Château Pichon Longueville du Baron de Pichon-Lonbueville(シャトー・ピション・ロングヴィル・デュ・バロン・ド・ピション・ロングヴィル)という長い名前がフルネームですが、ここ数年ワイナリーがChâteau Pichon Baron(シャトー・ピション・バロン)としているので、このブログではピション・バロンとしてお届けします。
今回も加筆なので、歴史部分含め前より詳しくお届けしたいと思います。
歴史
1689年 |
偉大なネゴシアンであり、ラトゥールとマルゴーを管理していたPierre Desmezures de Rauzan(ピエール・デスメズール・ド・ローザン)がラトゥールのすぐそばのブドウ畑を購入したことでワイナリーの歴史が始まります。 その購入したブドウ畑に囲いを造り、Enclos Rauzan(オンクロ・ローザン)を造りました。 |
1649年 |
Jacques Pichon de Longueville(ジャック・ピション・ド・ロングヴィル)男爵と結婚した時、ブドウ畑は娘のThérèse(テレーズ)の持参金でした。 これにより、Pichon Longueville(ピション・ロングヴィル)が誕生しました。 |
この後、数世代にわたり家族間でワイナリーが相続されます。 |
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1850年 |
ワイナリーが二つに分断されます。 Raoul Pichon de Longueville(ラウル・ピション・ド・ロングヴィル)の所有部分がPichon Baron(ピション・バロン)となります。 もう1部分は3姉妹の所有となり、Pichon Comtesse(ピション・コンテス)となります。 Pichon Comtesse(ピション・コンテス)ついても特集記事があるので、もしよろしければご覧ください。 |
1851年 |
Raoul(ラウル)男爵はルネサンス様式に触発され、今日私たちが知るお城を建てることにしました。 二つの象徴的な小塔を持つこの城は、ブドウ畑の中心に位置しています。 |
1855年 |
格付けで2級に選ばれました。 以下参考記事です。よろしければどうぞ。 |
1933年 |
Pichon de Longueville(ピション・ド・ロングヴィル)一族は、50年以上にわたって管理してきたワイナリーをBouteiller(ボテイエ)一族に売却します。 |
1987年 |
AXA Millésimes(アクサ・ミレジム)によってワイナリーが買収されます。 |
1988年 |
輝かしい歴史を持ち、ブドウ畑にしっかりポテンシャルがあるこのワイナリーのワインよよくするために、新しい醸造施設を建設します。 それ以来、19世紀に建てられた城の手前に水の鏡が設置されました。 |
生産しているワイン
殆どのボルドーのワイナリーでは、ファーストワイン、セカンドワイン(、サードワイン)の生産を木の樹齢で分けています。
ですが、シャトー・ピション・バロンは3種類のワインがそれぞれの畑を持つのが特徴!
三種類のワインは以下の名前で販売されています。
- Château Pichon Baron(シャトー・ピション・バロン)
- Les Tourelles de Longueville(レ・トゥレル・ドゥ・ロングヴィル)
- Les Griffons de Pichon Baron(レ・グリフォン・ド・ピション・バロン)
Château Pichon Baron(シャトー・ピション・バロン)
言わずと知れた、メドック・ポイヤックの格付けワイン。
1855年に2級に選ばれ、現在はスーパーセカンド(質のいい2級ワイン)とも呼ばれているワインです。
昔から持っている畑から採れたブドウのみを使って作られるのが、このワインの特徴です。
Les Tourelles de Longueville(レ・トゥレル・ドゥ・ロングヴィル)
1988年から販売されているセカンドワイン。
栽培されているブドウ品種全てを使うのもここの特徴。
(ブドウ品種については先に書いています)
トゥレルは小さな塔という意味で、お城の両端にある塔のことを指します。
Les Griffons de Pichon Baron(レ・グリフォン・ド・ピション・バロン)
2012年から販売されている、もう一つのセカンドワイン。
このワイナリーは珍しく、セカンドワインを2種類製造しています。
レ・トゥレル・ドゥ・ロングヴィルとはスタイルの違うセカンドワインで、シャトー・ピション・バロンの弟分と呼ばれる。
ブドウ畑
畑の総面積は73ha。
その中で先ほどの3種類のワインを生産しております。
常に畑の2~3%は植え替えを行っているので、73haすべてでブドウを生産しているわけではありません。
1haに9000本のブドウの木が植えられていて、35hlのワインが採れます。
(ちなみにポイヤックの法律では56hlが最小量)
ビオやビオディナミではなく、減薬農法でのブドウ栽培。
昔の伝統的な造り方をしていますが、可能な限り肥料は少なく、化学薬品は全く使っておりません!
ブドウ品種
ボルドーで認められている品種の内、4種類を植えています。
割合は以下。
- 65%カベルネ・ソーヴィニョン
- 30%メルロ
- 3%カベルネ・フラン
- 2%プティ・ヴェルド
石や砂の多い場所にカベルネ・ソーヴィニョンを、粘土の多い場所にメルロを基本的には植えているそうです。
Château Pichon Baron(シャトー・ピション・バロン)
先ほども少し言いましたが、40haある伝統的に持っている畑から生産されているワイン。
ジロンド川とも近く、一番近いところは川から500メートルの場所にあります!
基本的にはカベルネ・ソーヴィニョンとメルロのブレンド。
平均樹齢は30年から35年で、カベルネ・ソーヴィニョンが少し多いです。
Les Tourelles de Longueville(レ・トゥレル・ドゥ・ロングヴィル)
少し内陸にある畑、14haから生産されるワイン。
鉄分が多い土壌に植えられているのも特徴。
そして、植えられている4種類すべてを使うのは、このトゥレルだけです。
Les Griffons de Pichon Baron(レ・グリフォン・ド・ピション・バロン)
弟分のこちらは19haの畑を持ちます。
石や砂が多い場所で造られる、カベルネ・ソーヴィニョンやメルロのブレンド。
収穫
収穫はもちろん手摘み。
大体100人くらいの季節労働者が2週間かけて収穫を行います。
収穫の順番は
若いメルロ→古いメルロ→カベルネ・フラン→プティ・ヴェルド→若いカベルネ・ソーヴィニョン→古いカベルネ・ソーヴィニョン
選果
最初の選果は3台の選果台を使って。
その後除梗されて、レーザーを使った選果機を使います。
※除梗することによって、梗が除かれ、房の状態から実だけの状態になります。
この機械化された選果機は1時間で6トンものブドウを選果することができる優れもの!
醸造室での作業
シャトー・ピション・バロンが醸造で使うタンクは、ステンレスと木。
- 40のステンレスタンク
- 6の木のタンク
を持っており、地下にコンクリートタンクも持っています。
コンクリートタンクは、ブレンドや作業で少し使いますが、基本的な醸造はステンレスと木。
アルコール発酵
タンクに入れられたワインはアルコール発酵が行われます。
この間、行われるのがルモンタージュ、デレスタージュ、ピジャージュ。
(それぞれの作業については、前に書いた記事 ワイン醸造:アルコール発酵について。をご覧ください)
基本的にはルモンタージュを行いますが、醸造の最初はデレスタージュを、木のタンクにはピジャージュを行います。
それぞれの作業を決めるのは人の舌。
毎日、最低2回試飲することによって、それぞれのタンクにどの作業を行うかを決めます。
そしてその後のマロラクティック発酵はタンク内で行われます。
熟成室での作業
ボルドーの多くのワイナリーと同じ様に、1年目の熟成室と2年目の熟成室を持ちます。
1年目の熟成室では最初の6か月を、残り1年は2年目の熟成室で熟成を行います。
樽について
このワイナリーはそれぞれのワインで熟成期間と新樽使用率を変えています。
- シャトー・ピション・バロンは計18か月熟成、80%の新樽使用。
- レ・トゥレル・ドゥ・ロングヴィルは計12か月熟成、30%の新樽使用。
- レ・グリフォン・ド・ピション・バロンは計18か月熟成、40%の新樽使用。
樽会社は大体8社。
そして焼き加減は軽めから強めまで様々です。
そうすることで、同じワインを入れたとしても、樽によって個性の異なるワインができ、最終的なワインに複雑さを与えることができます。
澱引き
澱引きは3か月に1回と、ボルドーのベーシックなスパンで行っています。
ただ、澱引き後に樽を洗った後はUV(紫外線)を使って、樽を守っているのが、ここの大きな特徴!
まとめ
ブドウ品種 |
65%カベルネ・ソーヴィニョン 30%メルロ 3%カベルネ・フラン 2%プティ・ヴェルド |
タンク |
ステンレスタンク コンクリートタンク 木製タンク |
熟成期間 |
18か月 |
新樽使用率 |
80% |
ワイナリー情報
Château Pichon Longueville Baron
住所;D2, 33250 Pauillac
電話;+33 5 56 73 17 17
参考記事
格付け2級!Château Pichon Lonvueville Comtesse de Lalande
最後に
スーパーセカンドのワイナリー、シャトーピションバロンでした。
ここは観光業にも力を入れていて、グループ見学であれば気軽に訪問できます。
試飲できるワインは、基本的に同じビンテージのファーストワイン、セカンド×2かな。
並行試飲なので、土壌の違い/品種の違いをかなり実感できます!
感想やこんな内容書いて欲しい!などあればお気軽に連絡ください。 sachiwines@gmail.com その他色々やってるので、良かったら見てください☆ Instagram・sachiko0418 レストランブログ Facebook・Bordeaux-Japon.net ボルドージャポンネット Homepage・SachiWines 旧ブログ・Bordeaux-Japon.net ボルドージャポンネット レストランブログ
コメント
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