少し前にツイッターで質問があったので、記事にしてみることにしました!
今回は「コンクリートタンク」に焦点を当てたいと思います!
目次
ざっくりタンクの説明
コンクリートタンクの説明の前に、ワインにおけるタンクの役割を。
ぶどうジュースがワインになるためには「発酵」という作業が必要です。
(酵母の力で糖がアルコールに変わる化学反応)
この「発酵」を行うときに使われるのがタンク。
ステンレスやコンクリート、木など材質は様々で、ワイナリーの伝統や哲学、造りたいワインなどどの材質を使うかが決められます。
今回はそのうちの一つ「コンクリートタンク」のお話です。
ボルドーにおけるコンクリートタンク
国や地域によってもちろん違うので、ボルドー地方では、という形で読んでいただければと思います。
ちなみに、ボルドーの地域については以前かいた記事;ボルドーのワイン生産地を知るをどうぞ
コンクリートタンクのメリット/デメリット
色々なタンクがある中でコンクリートタンクを選ぶ理由は何でしょうか。
他の材質同様、メリット/デメリットが存在します。
それらを簡単にご紹介します。
コンクリートタンクのメリット
なんと言っても、内部の温度変化の少なさ。
コンクリートタンクは壁が厚いので、外気の影響を受けにくいです。
これがコンクリートタンクの圧倒的なメリットですね!
また醸造用タンクとしても、貯蔵用タンクとしても使えるのもメリットです。
コンクリートタンクのデメリット
分解できないので、運びづらい事が一番です。
ちなみにですが、木のタンクは設置場所で組み立てが可能です。
旧式タンクと新式タンク
旧式コンクリートタンク
昔はコンクリートタンク自身が壁になっているスタイルのものが多かったです。
というか、壁にタンクが接着しているイメージ。
そして内部は樹脂加工されていることが多いです。
タンク同士が接しているので、隣のタンクから温度の影響を受けるのがデメリット。
そして樹脂加工されている=タンク外の影響を受けません。
つまり、タンクに入っている限り酸素との接触は殆どありません。
ちなみにこの写真は、シャトー・オー・バージュ・リベラル。
外壁は塗り替えてますが、内部は昔のまま使っているそうです。
新式コンクリートタンク
最近のコンクリートタンクはこんな感じです。
見てわかる通り、個別のタンク。
つまり、以前までのように隣のタンクの影響を受けません。
(メドック/マルゴー、シャトー・キルヴァン)
また、内部も大きく変化しています。
樹脂加工されておらず、そのままのコンクリート。
中には酒石酸でコーティングしているものもあります。
コンクリートには小さな空洞があるので、それを通して間接的に、少しだけ酸素と触れ合うことができるようになりました。
新式コンクリートタンクのメリット
それは何よりも、空気との接触
先程も言いましたが、今まで木のタンクでしか実現できなかった、「空気との間接的な接触」が行えること。
フランス語では「Micro-oxygénation」といいます。
直訳すると微小な酸化。
ワインにとって酸素に触れすぎることは良くないですが、ある程度の酸化はワインを安定させるためにも必要です。
新式コンクリートタンク色々
ボルドーのいくつかのワイナリーで使われているタンクをご紹介します。
(今ふと思い出したワイナリーのものを載せるので、ほかにもコンクリートタンクを使っているところはもちろんあります。)
御覧の通り、いろいろな形が存在するのがコンクリートタンクの特徴です。
外見は角張っているものもありますが、内部は丸くなっています。
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サンテミリオン、シャトー・シュバル・ブラン
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メドック/マルゴー、シャトー・プリュレ・リシーヌ
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メドック/ポイヤック、シャトー・ポンテ・カネ
ボルドーでコンクリートタンクが増えてきた訳
ボルドーでは最近、コンクリートタンクを導入するワイナリーがどんどん増えてきました。
その一番の理由が、鋳型さえ造ってしまえばどんな形でも造れるというもの。
昔と比べて土壌の調査を詳しくできるようになり、厳しい基準で区画を分けるワイナリーが増えたのもその要因の一つ。
つまり、今までとは違う(より小さな)区画分けとなっています。
それによって、もちろん区画毎で採れるブドウの量が違うので、いろんなサイズのタンクを使いたいワイナリーが増えているという訳です。
さらに、ワイナリーの好みの形を造れるというのもコンクリートタンクが好まれている理由の一つです。
内部の形が違えば、中に入ったワインの動きも違う。
必然的にできるワインも違う。
つまり、自分らしいワインを追求できる。
何が言いたいかというと…比較的簡単に好みのサイズ、形のタンクが造れるというのが大きな魅力で、それが増えてきた大きな理由の一つです!
最後に
今回は最近ボルドーで増えているコンクリートタンクについてお話しました。
いろんな分野で技術が上がってきたことによって、ワイン造りも変わって来ています。
コンクリートタンクも進化しているものの一つ。
近年のボルドーワインについては、最近のボルドーワインについてで書いているので、よろしければどうぞ。
何か気になることがあれば、お気軽にご連絡ください(^^)
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コメント
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[…] 以前、ボルドーでのコンクリートタンク。という記事を書きましたが、今回はステンレスタンクについてお届けしたいと思います。 […]
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