同じ一族で6世代続くメゾン、Château de Montifaud(シャトー・ド・モンティフォー)にお邪魔しました。
数年前に見学の受け入れを新しくして、結構良くなったと噂のメゾン。
恥ずかしながら頂いたこともなかったので、試飲も楽しみに行ってきました!
歴史
1837年 | Augustin-Pierre Vallet(オーギュスタン=ピエール・ヴァレ)氏が3ヘクタールのブドウ畑を造りました。 |
1847年 |
ブドウ畑は10数ヘクタールまで増えました。 さらにAugustin-Pierre Vallet(オーギュスタン=ピエール・ヴァレ)氏が3ヘクトリットルの蒸留器を3基導入しました。 当時、自身で蒸留器を所有している生産者は少なく、隣人の蒸留も行っていました。 これにより彼は財を成すことができました。 |
1878年 |
Château de Montifaud(シャトー・ド・モンティフォー)のブドウ畑がフィロキセラの被害に遭いました。 これにより、難しい時代を迎えます。 |
1885年 |
ブドウ畑の再建が始まります。 この再建はAugustin-Pierre Vallet(オーギュスタン=ピエール・ヴァレ)氏とPierer Vallet(ピエール・ヴァレ)氏のつくってきたコニャックの在庫によりできることが出来ました。 |
Pierer Vallet(ピエール・ヴァレ)氏はJodith(ジョディット)氏と結婚し、Gustave(グスタヴ)とMaurice(モーリス)の2人の男の子を授かりました。 | |
1904年 |
Maurice Vallet(モーリス・ヴァレ)氏が父であるPierer Vallet(ピエール・ヴァレ)氏と共に蒸留を始めました。 現在販売されているコニャックHéritage Maurice Vallet(エリタージュ・モーリス・ヴァレ)はこの時代のコニャックがブレンドされています。 |
先代から受け継いだ古いコニャックがあったことで、Château de Montifaud(シャトー・ド・モンティフォー)は新しい段階へと進みます。 12ヘクトリットルの蒸留器を2基導入しました。 |
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1914~1918年 |
戦争により、経済的に難しい時代を迎えます。 Maurice(モーリス)氏と兄のGustave(グスタヴ)氏は戦争に行ったので、その間父のPierre(ピエール)氏が35ヘクタールの畑を守りました。 |
兄妹は家に戻ってきましたが、Gustave(グスタヴ)氏はその後まもなくして亡くなりました。 | |
Maurice(モーリス)氏はErnestine(エルネスティーヌ)と結婚し、Maurice(モーリス)、Louis-Augustin(ルイ=オーグスタン)、Simone(シモンヌ)、Marcel(マルセル)4人の子供を授かりました。 | |
Maurice(モーリス)氏はネゴシアンに自身のコニャックの販売を続ける一方で、生産したコニャックの一部を10リットルの樽とボトルに入れて販売することにしました。 この時、直接販売した栽培者はChâteau de Montifaud(シャトー・ド・モンティフォー)が初めてでした。 彼はフランス以外にもベルギーやスイスに販路を拡大しました。 |
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1940年 | 第二次世界大戦のあおりを受けて、経済状況が暗転しました。 |
1943年 |
コニャックとその周りの地域も爆撃を受けましたが、Maurice(モーリス)氏はブドウ畑を守りぬきました。 Jarnac-Champagne(ジャルナック・シャンパーニュ)村も被災し、Château de Montifaud(シャトー・ド・モンティフォー)も80%被害を受けました。 幸いなことに、1キロメートル先にある貯蔵庫は無事でした。 |
1947年 |
Louis(ルイ)氏がブドウ畑を引き継ぎ、最初のコニャックの蒸留を行いました。 またMicheline(ミシェリーヌ)氏と結婚したのもこの時です。 Louis(ルイ)氏とMicheline(ミシェリーヌ)氏はMichel-Maurice(ミシェル=モーリス)とNicole(ニコル)という2人の子供を授かりました。 |
Louis(ルイ)氏とMicheline(ミシェリーヌ)氏はブドウ畑の拡大を行い、建物のリフォーム、海外市場の取引拡大を行いました。 ドイツ、英国、アメリカ等に販売拡大を成功しました。 |
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1972年 | Michel(ミシェル)氏がLouis(ルイ)氏と共に生産に入りました。 |
1973年 | Louis(ルイ)氏とMichel(ミシェル)氏が25ヘクトリットルの蒸留器を2基導入しました。 |
1974年 | Michel(ミシェル)氏がCatherine(カトリーヌ)氏と結婚し、Laurant-Louis(ローラン=ルイ)とNathalie(ナタリー)の2人の子供を授かりました。 |
この時、ブドウ畑は48ヘクタールまで拡大しました。 | |
Michel(ミシェル)氏とCatherine(カトリーヌ)氏は生産したボトルを全て瓶詰めした後に販売したいと考えました。 そのために新しい海外市場の拡大と、新たな製品開発を始めます。 新しくヨーロッパ全土、カナダ、スカンジナビア、南アフリカ、アジア、バルト諸国、ロシア、ウクライナまで販路を拡大しました。 |
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2000年 |
Laurent(ローラン)氏が父Michel(ミシェル)氏と祖父Louis(ルイ)氏と共に働き始めます。 この時、ブドウ畑はグランド・シャンパーニュとプティット・シャンパーニュに60ヘクタールまで拡大していました。 年間生産の一部は未来のために保管しています。 |
2004年 |
Laurant(ローラン)氏がElodie(エロディ)氏と結婚し、Loïs(ロイ)とFlavie(フラヴィー)2人の娘を授かります。 この時ブドウ畑は90ヘクタールまで拡大していました。 |
2007年 |
製品の品質にこだわるMichel(ミシェル)とLaurent(ローラン)が新しいブレンド用セラーを新設します。 同年、妻であるElodie(エロディ)も生産に加わります。 |
2011年 | 祖先であるPierre(ピエール)氏が使用していた12ヘクトリットルの蒸留器を改修、復活させます。 |
2015年 | 需要が高まっていることもありLaurent(ローラン)はさらにブドウ畑を購入し、120ヘクタールまで拡大させました。 |
ブドウ畑
現在125ヘクタールの畑をGrande Champagne(グランド・シャンパーニュ)とPetite Champagne(プティット・シャンパーニュ)に所有しています。
これらの地域については以前詳しく書いたのでそちらを見て頂けるとありがたいです。
共に石灰が多い土壌で、長い熟成に向くオー・ド・ヴィを造ることが出来ます。
減薬農法で栽培しています。
ブドウ品種
コニャック、ピノー・デ・シャラント白、赤生産しています。
コニャック用の品種は
- ウニ・ブラン
- フォール・ブランシュ
ピノー・デ・シャラント白は
- ウニ・ブラン
- コロンバール
ピノー・デ・シャラント赤は
- メルロ
- カベルネ・ソーヴィニョン
を使用しています。
収穫と選果
機械で収穫された後は、すぐに圧搾機にかけられます。
ただし、若木から採れるブドウはまだ繊細なため手摘みを行います。
2004年に50ヘクトリットルの圧搾機を3基導入しました。
その後ブドウ畑の面積が増えたので収量も増え、110ヘクトリットルの圧搾機をもう1基導入しました。
最後に購入した110ヘクトリットルの物は現在ピノー・デ・シャラント用に使用しています。
醸造施設
2000年代にステンレスタンクを導入しました。
これによりアルコール発酵中の温度を24~25度以上上がらない様に設定できるようになりました。
また発酵が終わったワインは澱と共に保管され、蒸留を待ちます。
蒸留
1973年に25ヘクトリットルのガス蒸留器を2基導入しました。
ガスでの蒸留が可能になり、温度管理が楽に精密にできるようになりました。
2011年ブドウ畑の面積が2倍になったので、12.5ヘクトリットルの蒸留器を2基導入しました。
現在はガスでの蒸留が可能になりました。
通常年は11月から3月末まで蒸留を行います。
クープと呼ばれる蒸留された液体を分ける作業は、オーナーであるMIchel(ミシェル)かLaurent(ローラン)が行っています。
また蒸留は澱と共に行います。
蒸留についても以前かなり詳しく書いたのでそちらを見て頂けると嬉しいです。
- 参考;コニャックの蒸留について
写真の蒸留器、かなり珍しくてワイン予熱器を2基で共有しています!
これ多分世界に1基しかないらしい。
熟成
350ℓのリムーザンの樽で熟成を行います。
樽の焼き加減はミディアム。
余談ですが、コニャックでは強い焼き入れをした樽を使うメゾンは「ほぼ」ありません。
これは長い熟成を行うことを前提としているので、フルーツ本来の香りを焼きの香りで隠さないためです。
また、ビンテージコニャックもつくっています。
ブレンド
セラーマスターの重要な仕事の一つです。
現在はMichel(ミシェル)とLaurant(ローラン)のみブレンド決定権を持ちます。
2006年にブレンド専用セラーをつくりました。
ブレンド方法は昔のまま、先代たちの意思を繋ぐ作業ですが、ブドウ畑も広くなったことで作業スペースも新しく作りました。
試飲
試飲は好きなものを飲ませてもらえました。
私はXO以上のコニャックを買うつもりだったので、その中で気になるものをいただきました。
コニャックはこの3種!
ダークチェリーが特徴的やな、と思った。
真ん中のL50はボトルも一つ一つ手作りだそうで、世界に2本として同じ瓶は存在しません。
このL50が個人的な一番の好みでした!
そしてここ数年つくっているというジン。
コニャックの蒸留は期間が決められているので、使わない間に蒸留しているブドウベースのジンです。
これ、想像以上においしかった!
華やかで、きりっと美味しい。
これはもうちょっと値段安かったら即買いやったなーと思う一本。
メゾン情報
Château de Montifaud(シャトー・ド・モンティフォー)
住所;36 Rte d’Archiac, 17520 Jarnac-Champagne
電話;+33 5 46 49 50 77
参考記事
コニャックの秘密。どうしてミレジメ/ヴィンテージものが少ないのか。
コニャックの秘密。どうしてミレジメ/ヴィンテージものが少ないのか。
最後に
ここも行ったことがなかったんですが、珍しい蒸留器が見れたり、面白いジンをいただけたり、面白かった!
やっぱり生産者見学は面白いよね…!
ボルドーにも行きたい生産者さんいるし、久しぶりに行ってこようと思います。
ここ行って欲しいとかあれば是非教えて貰えると嬉しいです!
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