ワインディレクター、田邉公一氏インタビュー【その1】

インタビュー

さぁさぁ、今回はちょっと趣向を変えた記事をお届けします。

素晴らしい経歴をお持ちの、ワインディレクター田邉公一氏にお話を伺いました!

SNSってすごいなぁっていうのと、コロナの影響もあって遠隔でお話するのも普通になって、本当に悪いことばっかりじゃないなぁと思う。

予定の倍の時間を割いていただき…!感謝。

そして、Twitterやインスタで質問してくれた皆様もありがとうございました!

基本的には田邉さんの言葉ですが、時々会話になっております。

第一弾はワインディレクター、田邉公一氏インタビュー【その2】をご覧ください。

ということで、スタート。

 

 

田邉さんの主な仕事は?

ワインのセレクションや監修業。

知識や技術の向上のため、スタッフの教育/セミナー、いろんなお店のワインを選んでますね。

ワインスクールも年間通して日本酒やワインの講座を持っています。

 

ワインリストの選び方は?どういうアプローチ?

お店のコンセプトがあるじゃないですか。明確なコンセプト。

そういうところをまず知って、そこに合わないのはだめじゃないですか。

コンセプトありきの料理。食べてないと絶対選べないので。基本的に行ったことがあるお店が多いんですよね。そこでご依頼いただく事が多くて。

シェフの料理のクセが結構あるんですよ。

神戸に11年くらいいたんですけど、いろんな有名なシェフと働いて、その人がどういう料理を出したいか、というのもあるんですね。性格とか、色々。

そこも踏まえて、こういうワインが合うな、と。

 

例えば、フランスワインしか置きたくないというお店もある?

そういうお店は断ります(笑)

ご要望があったり、どう考えてもこてこてのフランス料理だったらそういう風にすると思うけど。

実際フレンチシェフもいるんですけど、最近は崩していくことも多いし、食材も輸入じゃなくて地産地消で行くことが多いので。国内の食材でフレンチとか結構多いじゃないですか。

そうなると結構違うワインを選ぶということもあるし。

あとは、フレンチシェフもイタリア食材を選んだりとか、結構色々ある。

そういうのを踏まえて、この食材的に、調理法的にフレンチだけどイタリアン寄りだったりとか、地中海系のタプナードとかソースがあったら、そっちにエリアを寄せたり。

まず、コンセプトがあって、そこの料理とシェフ。料理人の人がどんな人なのか、そこにその人のつくる各皿の、どういった場所でつくられている食材なのか、料理スタイルとかをみて、だんだん詰めていくっていう。

 

毒を吐いて欲しい

(田;田邉さん、野;野田)

田:僕たち毒キャラでしたっけ?

野:私はすごい毒吐きを隠しているんですけど(笑)

田:それを言っているんじゃないですか?もしかしたら。

野:バレてるってことですかね?隠してるのに(笑)

田:野田さんが毒系だってわかってるってことじゃないですか。

 

サービスで気を付けていること

講師業/セミナー業もやっているので、それと違う、と認識することに気を付けています。

サービスは主体が自分ではないので。

ゲストはいろんな事情があってきているじゃないですか。お客さん毎に、目的が全員違う訳ですよね。

学校とかセミナーとかだと、目的がみんな一緒じゃないですか。勉強しにきて、こういうテーマがあってとか。

そういうのが一緒にならないように。

サービス人っていうのはあくまで「空気読み」だと思うんですよ。空気を読めるかどうか。同じ様にいってはいけないっていう。

テーブルごとに違うストーリーが絶対あるんで、それに合わせるような空気読み。

これがサービスで気を付けている事です。

一律にサービスしても意味がないじゃないですか。全員に対してよく喋ったりとか、全員に対して淡々としていたりとか。

お客様の求めていることが見えてないと、空気読みが出来てないということになっちゃうので。

結局、帰る時にはお店が褒められるというよりは、一緒に行った人同士で盛り上がって「いい店だったね」となる方がきっとリピートに繋がっていく。

 

もちろんコロナで変わってきた部分はあって。この人がいないと、というのは当然あるんですけど。

あくまで、出るとこ引くとこの空気読みですかね。気を付けることは。

あんまり出てきてほしくないな、とか。喋ってほしそうな人の時は喋るとか。

 

一人のお客様の場合は?

最近一人の方も結構多くて。カウンターの店だと特に。

そういうときだと、基本話した方が良いと思っているんですよ。やっぱり。

一人の人が一人にしてほしい、ではないと思っていて。

昔そういう風に思っていたこともありましたけど。一人だったら一人にしてあげた方が良いのかな、とか。

バーで働いていた時も、一人でいらっしゃるお客様も多くて。

でも、一人の人って話しかけづらいんですよ。基本的に。

 

(田;田邉さん、野;野田)

野:私、よく一人で食べに行ったりとか飲みに行ったりとかします。でも、本を持って行くので話しかけにくいオーラを放っているかもしれないです。

田:話しかけられたくないってこと?

野:話しかけて、って思ってます(笑)でも一人で寂しいご飯とか飲みがいやなんですよ。何かしてたいっていうか。なので話してくれたらやめるんですけど。話してくれなかったらずっと何かを読んでます。

 

僕らも中々難しくて。話かけない方がいいんじゃないかなっていうのがまずベースにあるというか。

へたなこと言えないじゃないですか。

話したはいいけど、お客様が話したくないよ、だと逆に迷惑だから。

とはいえ最近思うのが、一人でいらっしゃる方には前提話した方がいいのかな、と。

今更ですけど、ここ数年わかってきて。

特に今多いですね。一人の方って増えたと思います。

一人のサービス人がずっと話すって結構大変じゃないですか。一対一だから。他のテーブルとかもある訳だし。

となると、できるだけ気を付けているのが、僕が話したら誰かに振っていって、スタッフで循環させるというか。シェフがカウンターにいたら、シェフが話したりとか。そういうのが出来れば理想的なのかな、と。一人の場合は。

 

コースのお店で一人の方も結構いらっしゃるんですよね。

野:コースだとソムリエさんが結構話してくれるイメージがあります。

一番は、ソムリエが話すべきだとおもうんですよ。話題の共通性が一番多いというか。

レストランの中では最初にお客様にタッチする仕事なので。

もちろん、レストランで働く人数が多くなれば変わりますが。

 

野:複数人だとお客様同士の会話を聞いてってことですか?

そうですね。話している雰囲気で分かります。

一人だと、その人の性格が出るまで結構時間がかかるとおもうんですよ。

そういう意味だと、無理やりにでも話すっていうのが必要かもしれないですね。じゃないとその人のことがわからないので。ずっとしーんとしているのも違うと思うし。

元々知っている人が一人で来るのは、それはそれで楽なんですけど。全く知らない人っていうのがよくあるので。そこの目的を探すまでが難しいですね。

 

関東と関西のサービスの違いはある?

違います。それこそ大阪が違いますよね(笑)

関西というか神戸は東京よりですよ。やり方は。やっぱり執事というか受け身的というか。

大阪は話しますよね。ギャグをとにかく言おうとしますよね。

この間のサンセールの賛成じゃないですけど。

x.com

(参考;田邉さんツイート

 

ベリンジャーっていうカリフォルニアのワインがあって、それアカレンジャーにしますか?シロレンジャーにしますか?とか。

(参考;ベリンジャー│サッポロビールベリンジャー公式

面白いけど、連発すると疲れちゃいますよね。それが疲れるかどうかっていうのもあると思うんですけど。

そういう文化間の違いっていっぱいあるとおもいますよ。特に大阪は特殊だなと思います。

僕はそういうキャラじゃなかったかもしれないですけど、面白いことを言うっていうのは結構勉強になりました。

学校でも。淡々と話している途中に、ちょっとおもしろい言い回しを真顔で言うとクスクス、ってしてくれたり。

笑わせるってサービス精神ですからね。笑わせるってエネルギーいるじゃないですか。

あとはバランスかな、って思います。ずーっと言ってるとちょっと疲れたりするんですよ。

大阪の人はしょうがないんですけど(笑)

ギャグも空気読みですよね。

基本言われているのは、余計なことは言わないほうが良いかなって。事故らない。

だから僕は積極的なトークは、サービスの時はしない。

 

自分のことはあまり話さない方が良い?

野:もちろん、常連さんかどうかで変わってくるとは思いますが。

話さない方がいいでしょうね。

徹底して料理とワインの話をするってことと、一見さんもそうじゃない人も、サービスをする上で受けがいいというか、成功事例なんですけど、料理とかワインをちゃんと説明するっていうことはいいと思います。

料理とかワインって同じものだったとしても、説明がなくただ注がれるか、説明があって注がれるか。

極端な話、裏で注いで持ってくる店もあるじゃないですか。

料理も同じものでもサービス人が興味なく、ただ持ってきたとなれば多分そんなにおいしくないと思うんですよね。全く同じお皿でも。

だからソムリエがやらなきゃいけないのが、説明はあえてするっていうか。

用語とか、産地の名前とか知らないかもしれないけど、ワインの名前とか品種とか産地の名前とか、ちょっとしたことあるじゃないですか。こういうエリアでつくってますよ、とか。

料理も、この食材はどこどこ産のお野菜を使った、とか。軽く火を入れて、とかこっちの野菜の調理方はこうで、ソースがこうで、とか。

こういうニュアンスにワインのこの相性がいいんですよ、とか。

端的に、ある程度専門的に説明するのは、価値をあげるというか。

この店本格的だなって思ってもらえたり。

例えば、カジュアル店でもお店からの評価って上がると思っていて。

カジュアルなお店なのに、料理とかワインとかすごい説明してくれたなって。

そうすると、いいサービスだったなって思ってくれる人が多いと思っている。

あんまり長くなるといけないですけど、ちゃんと説明していれば、店の格は絶対上がると思っています。

だから説明することですね。

料理とワインって共通性じゃないですか。

となると余計な会話はせずに、そこはちゃんと話すとか。

その反応が良かれ、悪かれ話す。

もちろん、話を割ってまで話すことはないですけど。

でも基本は、楽しみにしてくれるし。

この店凄いなって思ってくれたら、口コミになったりするじゃないですか。

そういう店の方が、経験上繁盛してるなと思います。

 

サービスの鉄板ネタは?

掴みがあるって、相手の目的がはっきりしている時だと思うんですよ。

お客様から期待されていることがあって、自分たちが訴えたいことがあって、それが鉄板トークになると思うんですよね。

例えば学校とかだと、一言かける、みたいなのがあるんですけど。

レストランでそれをやっちゃうと、ちょっと違うかなって思っちゃうんですよね。

 

授業している時の鉄板トークは?

決まりごとにしていることはないですね。その時々で変えています。

鉄板ネタはないかもしれないですけど、レストランだとお客様の人となりがわからないとへたに話せないっていうのがあるので。難しいですよね。

 

最後に

かなり長い文章になってしまうので、今回はここまでにします。

今回はどちらかというとサービスについてお届けしました。

次回(2日後)はマリアージュの話や田邉さんのお仕事について。

私の感想も次回お届けします。

ワインディレクター、田邉公一氏インタビュー【その2】


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コメント

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