シャトームーランリッシュはセカンドワインではありません。

左岸

“セカンドワインではありません”シリーズ第二弾。

前回のClos du Marquis(クロ・デュ・マルキ)よりは知名度が低いChâteau Moulin Riche(シャトー・ムーラン・リッシュ)についてです。

何で知名度が低いのかも含めてお伝えしたい。

セカンドワイン

セカンドワインとは何でしょうか。

毎回同じ内容で申し訳ないですが、その名の通り「2番目」のワインです。

詳しくは以前書いた記事を見てもらえればと思います。

フランス語を音で聞くと「スゴンヴァン」で、最初聞いた時ん?ってなったのが懐かしい。

Château Léoville Poyferré

ポワフェレについては既に書いたので、そちらを見てもらえればと思います。

レオヴィル3兄弟の一つですよね。

余談ですが、エチケットに描かれている建物は元々存在しなかったんです。

オーナーが描いて、同じ形の建物を作ったという、メドックでは珍しいスタイル。

(もともと建物があって、それをエチケットに書くパターンがほとんど)

そして今回説明したいなって思っているのがChâteau Léoville Poyferré(シャトー・レオヴィル・ポワフェレ)Château Moulin Riche(シャトー・ムーラン・リッシュ)の違いです。

これらは全くの別のワインです。

Château Léoville Las Cases(シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ)の時と同様、表にしました。

ファーストワイン セカンドワイン

Château Léoville Poyferré

(シャトー・レオヴィル・ポワフェレ)

Pavillon de Léoville Poyferré

(パヴィヨン・ド・レオヴィル・ポワフェレ)

Château Moulin Riche

(シャトー・ムーラン・リッシュ)

ラスカーズとの違いは、それぞれのワインにセカンドワインがある訳ではなくて、2つのワインのセカンドワインがPavillon de Léoville Poyferré(パヴィヨン・ド・レオヴィル・ポワフェレ)です。

ホームページ見たら、M de Moulin Riche(エム・ド・ムーラン・リッシュ)ってのがChâteau Moulin Riche(シャトー・ムーラン・リッシュ)のセカンドワインってなってる。

これ、実はスーパーとかネゴシアン専門に作ってたワインでほとんど出回ってなかったのよ。

なので、ワイナリー訪問しても語られないワインです。

それぞれのワインの違い

何が違うの?って、が違います。

そして醸造方法/熟成方法も違う

まずは畑のお話からしたいと思います。

ワイナリーの所有畑

畑は全部で80haを所有しています。

右側の水色部分がジロンド川

濃い黄色がワイナリーの所有畑です。

ちなみにD2と書いているのは道路。

メドックの有名ワイナリーに行くならこの道を通ればいいよ!っていう道です。

植えられているブドウの品種等々はワイナリー記事をご覧いただければと思います。

ポワフェレとムーランリッシュ

先ほど畑が違うと書きました。

具体的には、オレンジ色に塗ったのがChâteau Léoville Poyferré(シャトー・レオヴィル・ポワフェレ)。

そしてピンク色がChâteau Moulin Riche(シャトー・ムーラン・リッシュ)の畑です。

栽培から瓶詰まで、同じチームで行っていますが、異なる畑から採れるブドウを使っています。

Château Léoville Poyferré(シャトー・レオヴィル・ポワフェレ)の畑が60ha、Château Moulin Riche(シャトー・ムーラン・リッシュ)の畑が20haです。

土壌

畑に書いてある線はワイナリーが決めている区画です。

これを見ると、土壌によって区画を分けているのがわかります。

色毎に分けているのですが、それぞれの土壌について軽く説明したいと思います。

Terres Noires

赤色に塗っているTerres Noiresは直訳すると黒い土壌。

砂と粘土質で、冷涼な土壌のため、メルロの様な早摘みの品種に向いています。

さらに雨の少ない夏でもブドウに水を与えることができる土壌です。

ここからは美しいフレッシュさのあるワインが生まれます。

Sables

Sablesは砂。オレンジ色に塗っている場所がこれ。

力強く、エレガントなワインを造ることができる土壌です。

ブドウの幹に太陽の熱が伝わり、ブドウの成熟が進みます。

カベルネ・ソーヴィニョンなどの遅摘みの品種に向いているのがここ。

Graves Noires

Graves Noiresは黒河川礫層かな。

Graves(グラーヴ)はボルドー左岸で沢山見る石のことです。

この土壌から採れたブドウからは力強いながらしなやかで、果実味を感じるワインを造ることが出来ます。

ポワフェレのグラーヴ土壌は、周りのワイナリーとは一線を画していて、太陽の影響を存分に受けています。

ブドウは太陽熱を受けて、成熟が早まります。

つまり、カベルネ・ソーヴィニョンなどの遅摘みの品種に向いている土壌。

 

Graves Sableuses

次はGraves Sableuses、砂礫土壌です。

フィネスと後味の長さが特徴的なワインを造ることが出来る場所。

下層の砂がフィネスを与え、地表のグラーヴ(石)が力強さを与えます。

ブドウは太陽の熱を存分に受けるので、その成熟が早まります。

つまり、カベルネ・ソーヴィニョンなどの遅摘みの品種に向いている土壌。

 

Graves Riches

最後はGraves Riches、豊富な河川礫層です。

ここで採れたブドウからは、力強く深みのあるワインを造ることが出来ます。

粘土土壌もあるので、冷たい土壌でありながらも、グラーヴ(石)のおかげで太陽熱を最大限に受容することができます。

メルロやカベルネ・フランなどの早摘みの品種に向いている土壌。

品種

見学した時に見せてくれる地図も一緒にまとめてみた。

絵にすると視覚的にどの品種がわかりやすくていいね!

ポワフェレは、レオヴィル3兄弟の中で唯一プティ・ヴェルドを栽培しているワイナリーでもあります。

土壌と品種

土壌と品種を見てたら、どっちも一緒の地図で見たいなぁと思ってこちらも作ってみた。

色は変わらず、土壌を柄にしてみました。

項やってみると、ある程度は土壌によって品種を決めてるけど、似た土壌でも違う品種を植えてるのもわかる。

これによって、いろんな性格を持ったブドウを栽培することができるので、完成したワインに複雑さを与えることが出来ます。

造りの違い

Château Léoville Poyferré(シャトー・レオヴィル・ポワフェレ)とChâteau Moulin Riche(シャトー・ムーラン・リッシュ)はつくりも違います。

これもポワフェレの記事で書いているので、そちらも見て欲しい。

今回は表にしたいと思います。

 

Château Léoville Poyferré

(シャトー・レオヴィル・ポワフェレ)

Château Moulin Riche

(シャトー・ムーラン・リッシュ)

Pavillon de Léoville Poyferré

(パヴィヨン・ド・レオヴィル・ポワフェレ)

タンク

台形ステンレスタンク

寸胴ステンレスタンク

寸胴ステンレスタンク

醸造

醸造前の低温醸しあり

樽内でFML*

醸造前の低温醸しなし

タンク内でFML

醸造前の低温醸しなし

タンク内でFML

熟成

新樽80%使用

新樽20%使用

新樽0%使用

期間

18か月熟成

18か月熟成

15か月熟成

*FMLはリンゴ酸を乳酸に変えるマロラクティック発酵のこと

販売方法の違い

最初に書いた、なぜChâteau Moulin Riche (シャトー・ムーラン・リッシュ)がそれほど流通していないのか。

それは扱っているネゴシアンが違うから。

Château Léoville Poyferré(シャトー・レオヴィル・ポワフェレ)はボルドーに本社を置く100程度のネゴシアンが販売を行っています

ちなみに生産の70~90%程度がプリムールで販売されています。

それに対してChâteau Moulin Riche(シャトー・ムーラン・リッシュ)とPavillon de Léoville Poyferré(パヴィヨン・ド・レオヴィル・ポワフェレ)は自社のネゴシアンのみが流通を担っています

必然的に海外に出ることも少なくなるし、販売経路が変わる。

ワイナリーを訪問された方には、Château Moulin Riche(シャトー・ムーラン・リッシュ)かPavillon de Léoville Poyferré(パヴィヨン・ド・レオヴィル・ポワフェレ)をおすすめしています。

というかChâteau Moulin Riche(シャトー・ムーラン・リッシュ)のコスパの良さ素晴らしい!

ワイナリー情報

Château Léoville Poyferré(シャトー・レオヴィル・ポワフェレ)

電話;+33 5 56 59 08 30

メール;

住所;38 Rue de Saint-Julien, 33250 Saint-Julien-Beychevelle

参考記事

サンジュリアン2級シャトー、Château Léoville Poyferré

ファーストワインとセカンドワイン…って何?

メドック格付けワイナリー、セカンドワインリスト

サンジュリアン、Château Léoville Las Cases

クロデュマルキはセカンドワインではありません

 

最後に

相変わらずワイナリー記事ですが、今までとは違う切り口で書くのもとても楽しいです。

ポワフェレはよく訪問しているワイナリーの一つでもあって、もはや何も見ずに書ける。笑

でもやっぱり、書けば書くほど気になるところは出てくるから楽しい!

また、気になってることを調べて、記事にしていければと思っています☺


感想やこんな内容書いて欲しい!などあればお気軽に連絡ください。
sachiwines@gmail.com

その他色々やってるので、良かったら見てください☆ 
InstagramTwitter
レストランブログ
FacebookBordeaux-Japon.net ボルドージャポンネット 
Homepage・SachiWines 
旧ブログ・Bordeaux-Japon.net ボルドージャポンネット レストランブログ
広告

コメント

error: 申し訳ないですが右クリック禁止にしました。データが欲しい方は直接連絡ください。
タイトルとURLをコピーしました