コニャックの蒸留所を見学していると、他で出会わない単語に出会うことがあります。
それはコニャック生産地域で特別に使われている単語なこともしばしば。
今回は「BOUILLEUR DE CRU」についてお届けします。
今回、色んなメゾンの蒸留器の写真を載せます!
フランス語
まずは直訳してみましょう。
「BOUILLEUR」は「蒸留酒(ブランデー)を作る人」
「CRU」は「ブドウ園」や「名産地」などという意味があります。
つまり、直訳すると「ブドウ園で蒸留酒を作る人」です。
歴史
ナポレオンが「BOUILLEUR DE CRU」の特権を認めていました。
10ℓの純アルコール、または20ℓの度数50%のアルコールを蒸留した場合、税金を免除するという特権です。
これが「BOUILLEUR DE CRU」の起源。
この特権は1960年に世代を超えたこの特権の伝達を廃止するまで、相続によって受け継がれましたが、それ以降は相続で受け継ぐことが出来なくなり、最後の保有者が死亡した時点で消滅します。
2008年以降、この特権の恩恵を受けない蒸留所では、最初の10ℓの純アルコールに対して50%、それ以降は100%の課税が行われることになりました。
コニャック生産地では
シャラントでは「BOUILLEUR DE CRU」は「自らワインを蒸留するブドウ生産者」を指します。
つまり自社でブドウ畑を持ちます。
シャラントには1300程度、自身の蒸留器で蒸留する蒸留者がおり、地域のブドウ栽培者の4分の1程度に相当すると言われています。
蒸留については以前詳しく書いたので、そちらをご覧ください。
以前の記事
生産者の数
現在、3500~4200程度の「BOUILLEUR DE CRU」が存在し、1300以上が自身の蒸留器を所有し、112が「BOUILLEUR DE PROFESSION」です。
またここで「BOUILLEUR DE PROFESSION」という単語が出てきました。
二つの違い
2種類のBouilleurの違いは何でしょうか。
BOUILLEUR DE CRU
「BOUILLEUR DE CRU」はブドウ栽培者で、自身のワインを蒸留する、または自身の方法で蒸留させる人たちのことを指します。
「BOUILLEUR DE CRU」は職業ではなく、栽培、収穫を行う生産者の地位から派生したものです。
つまり、「BOUILLEUR DE CRU」は何よりもまずプロのブドウ栽培者ということです。
ブドウ栽培者は土地を耕し、ブドウを栽培し、手入れし、収穫するプロフェッショナルです。
目的は、質の高いブドウを収穫すること。
ブドウ栽培に情熱を注ぎ、一般的にブドウ畑の近くに住居を持ちます。
ワイン生産者はブドウの収穫量だけでなく、質を重視し、消費者の健康にも配慮してブドウ栽培を行っています。
フランス全土にはコニャックを含む15万程度の「BOUILLEUR DE CRU」が存在すると言われており、その半分が蒸留を行っています。
BOUILLEUR DE PROFESSION
「BOUILLEUR DE PROFESSION」はワインを購入し、蒸留し、オー・ド・ヴィを販売する、または他社の代理として蒸留する、プロの蒸留家を指します。
コニャック用のワイン蒸留の半分は生産者によって蒸留されますが、残りの半分は「BOUILLEUR DE PROFESSION」によって蒸留されています。
シャラントではなくてはならない職業の一つです。
蒸留家である「BOUILLEUR DE PROFESSION」はコニャックに適したワインを書いとることも重要な仕事の一つです。
100程度の「BOUILLEUR DE PROFESSION」が存在し、大手メゾンや他の生産者のために蒸留を専門に行っています。
参考記事
コニャックの秘密。どうしてミレジメ/ヴィンテージものが少ないのか。
最後に
初めて、用語解説をしてみましたがいかがでしょうか。
フランス語で見学しないと出会わない単語も沢山ありますが、少しずつ紹介していきたいと思います。
感想やこんな内容書いて欲しい!などあればお気軽に連絡ください。 sachiwines@gmail.com その他色々やってるので、良かったら見てください Instagram Twitter レストランブログ Facebook|Bordeaux-Japon.net ボルドージャポンネット Homepage|SachiWines
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